心の汚染は見えない

 研修会出席者のマナー問題で読者コメントが寄せられた。

 「私語はやめてもらいたい。居眠りならその人の機会損失で済むが、私語で講師の声が聞こえなければ他人の機会をも損失させる。先日私が参加した研修でもベラベラ私語をする中国人男性がいた。うるさくて気が散る。チラチラと視線を送るがまるで効果なし。周りが迷惑しているのも恐らく自覚しているのにおしゃべりをやめない。本当に見苦しい。講師の顔も曇っていた。私から彼らに注意するわけにもいかず、ぜひ講師には注意してもらいたかった」

 その日の講師が私だったら、その場で一喝したかもしれない。

 人にどう見られるか気にしない。――こういう中国人は少なくない(逆に、日本人の場合、人目を気にしすぎる傾向がある)。上記の読者が私語者にチラチラと視線をいくら送っても、効き目なし。その私語者には、おそらく自分の世界しか見えない、あるいは自分の世界しか見ようとしないのである。もちろん、マナー違反の罪悪感のかけらもないだろう。

 下の写真は、先日寧波出張途中、高速道路のサービス・エリアの駐車場で撮影したものだ。

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 子供を抱っこするお母さんが、ごみをどんどん車外に放り出す。むしろ、マナー違反よりも、こんなお母さんを見て育つ子供の将来が絶望的で、思わず私は悲しくなった。

 ごみを出された車内は綺麗になっただろうが、子どもの心が汚染された。経済成長に伴う環境汚染が見えても、心の汚染は見えない・・・