顧客からの苦情と人材育成の矛盾にどう対処するか

 当社顧客C社からクレームが来た。私の部下の対応の不手際についての苦情だ。

 私が横から入れば、何とか早急に問題を解決できる。迷った末、介入を止めた。顧客にはメールを出して、事情を申し上げた。

 部下が招致したクレームに対して、上司が介入して解決すれば、短期的にもっとも有効なやりかただ。しかし、部下は結果的に身をもって学習することができないし、成長できない。次も恐れおそれ上司の指示を待つという悪循環に入る。組織のなかの真の権限移譲もいつまでも出来ない。

 批判的思考、独立思考、問題解決の力を育てるには、失敗というコストが必要だ。失敗させないための親心と幇助は、部下から成長の権利と機会を奪う行為だと私は、このように認識している。

 社員教育には、コストが必要だ。顧客のクレームで契約打ち切りも予想する。これは教育コストだ。いや、「学育」コストだ。私は部下にこう指示する。

 「あなたたちは、誠意をもって最大限の努力をしなさい。それでも、顧客から契約を打ち切られても、その責任は、すべて社長の私が取る。失敗があっても良い。失敗しなさい。1回、2回、3回くらい失敗すれば、失敗しなくなる」

 立花がいつ死んでも、会社が生きていくために、引き続き顧客のために価値を出し続けるために、社員の成長、権限の委譲は、避けて通りない道だ。顧客企業に堂々と指導していることを、自社内でやらない、こんなことができない。自身でもできないことを、どうやって人にやってもらえるのか・・・