<雑論>インバウンド「中国はすごい」ブーム / 無思考と無教養 / 「女性産業」という産業 / 米国の対中大戦略

● インバウンド「中国はすごい」ブーム

 中国も日本の真似か?外国人インバウンドの「中国はすごい」ブーム。ただ、日本と違うのは、中国のメディアが取材するのではなく、外国人自らの「TikTok」や「YouTube」投稿。

 まずは、「量」。メディア取材よりも数が数百倍数千倍、ダントツ多いし、拡散も広い。次に、「質」。何よりも、観光客本人の自撮りなので、「ヤラセ」ではないことの証明になる。さらに、日本人は日本人目線で「寿司が美味しい」「サービスが良い」「桜が美しい」に限られてしまうが、中国の場合、外国人の感性に委ねれば、中国人(本国人)でも思いつかない題材を取り上げてくれるし、生々しい「感動話」を聞かせてくれる。この「外人感性」は、また外人同士の間で伝染するから、凄いのだ。

● 無思考と無教養

 最近の日本人の日本語、乱れている。「食べれる」はNG! 正解は「食べられる」。ここまでならまだしも、「始めれる」というのを見て、絶句。外国語はどうでもいい。まずは日本語を勉強しよう。文法、用語、論理性、文脈、修辞……。外国語の勉強は、お勧めしない。ここ数年、AI翻訳のレベルが飛躍的に向上した。昔ありがちな訳文のぎこちなさがほとんどなくなった。外国語は、AIに任せればいい。人間の限られた時間資源を、AIのできないことに投入したい――。

 それはつまり、「学習力」を超えた「思考力」の向上だ。思考力の欠落は致命的だ。一例を挙げよう。一部の日本人は、海外で騙されたことを、堂々と言う。あたかも正義の代弁者であるかのように。騙されたのは、要するに頭が悪い(無思考)か、生命力(サバイバル力)が足りないかのどっちか、あるいは両方だ。わかってほしいが、弱が愚であっても、決して、善ではない。

 Nature Index大学・研究機関ランキング2024年によれば、中国科学院が1位となり、トップ10に中国勢は7校・機関も占めている。中国は模倣だけで、日本の技術を盗んだとか。全くの無知、いや無知の知を持たない馬鹿丸出しだ。中国はアメリカを抜いたのだ。日本はとっくに消えている。中国は科学技術分野でなぜ、これだけ成し遂げたのか。彼たちは、アメリカ人の思考回路を盗んだからだ。つまり、思考力の問題だ。自由の極意は、思考の自由。彼たちは、思考の自由を手に入れた。

資料:Business Insider

 社会学者である竹内洋氏(関西大学東京センター長)が『教養主義の没落』の中で述べたことだが、1970年代までは教養主義は大学キャンパスの規範的な文化であって、読書による教養主義というのは、人格の形成や社会の発展のために、学生の間で疑いようのない信念として共有されていたと。

 「教養」欠落が今の日本人の問題。えっ、日本人は無教養なの?と思ったら、その人も教養欠落グループだ。教養とは、きちんと挨拶できるとか、ピアノが弾けるとかそういう次元ではない。竹内氏が指摘している読書はもちろん教養のうちだが、どんな本を読んでいるか、どのように読んでいるか、読むだけなのか(独自の思考はあるか)、などなど課題が多い。

 私の理解では、「教養」とは、「教わったものが、栄養になり、吸収される」ことだ。知識が知恵になることだ。同時に老廃物や有害物質を弁別し、それらを排出することも欠かせない。一言で言えば、「教養」とは、人間の「精神的新陳代謝」である。それができていないと、特権階級に利用され、搾取される対象になる。

● 「女性産業」という産業

 女子会、女性専用車から、女性起業家、女性経営者、女性政治家まで……。日本ではやたら「女性」が目立つ。中国に(出張で)やってきて気づくのは、優秀な人材が自然にあるべき地位につくことだ。日本の場合、「女性」が一種のポリコレ、それ自体がビジネスにもなっており、産業化している。いささか「女性」の食傷気味。

 「女性地位の向上」それ自体が、家庭主婦という立派な職業に就く女性に対する差別行為だ。「社会進出」というが、家庭だって社会の一部ではないか。家庭、家族は社会構成の基本単位であり、家庭をなくして社会は成り立たない。たまたま家を出た一部の女性がブームに便乗して「女性」「女性」と騒ぐのは要するに、自分の成功を誇示したいだけではないか。

 「女性」というキーワードの産業化。最近流行りの女性コンサルタントによる女性対象のコンテンツビジネス、さらに女性による女性コンサルタントの育成ビジネス。アメーバ式の産業だ。コンテンツが、美、愛、金。商材はコンテンツなので、投資はイメージ作りの写真撮影や動画製作といったところだ。

 共通点は、彼女たちが「コンテンツビジネス」という用語を使いたがらないことだ。「怪しい」感を回避したいからだ。怪しいものもあるが、もちろん全てが怪しいわけではない。効果だけが気になる。受講者の何%が目標達成したかだ。

● 米国の対中大戦略

 米国の対中大戦略(Grand strategy)は何だろうか?米国の政治家から一度も聞いたことがない。

 中国の経済成長を止める?
 中国共産党政権を転覆させる?
 人民元の国際化を止める?
 台湾統一を失敗させる?

 どれも達成できないのではないか。

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