加藤嘉一氏の経歴詐称問題について、「誤解」か「確信犯」か

 日中問題で有名なコラムニスト・加藤嘉一氏の経歴詐称問題が明るみに出た(関連報道)。

 本人が早い段階で公式サイトで謝罪文を掲載したことは評価できる。早速、その謝罪文(加藤氏公式サイトの「お詫びとご報告」)を読むと、「私の過去の言動から皆様に誤解を与えてしまったこと」について謝罪し、また、改善措置としては、「今後、皆様に誤解とご迷惑を生じないよう」となっている。

 「誤解」とは何か?「誤って理解する」ことだ。辞書を調べると、「ある事実について、間違った理解や解釈をすること、相手の言葉などの意味を取り違えていること、思い違い」となっている。あれあれ、聞いている方が悪いようなニュアンスではないか。

 最近、「誤解を招いた」ことで謝罪する政治家や経営者も少なくないが、大抵一つの事件について論じているわけだ。加藤氏の場合、東京大学合格の件だけでなく、公費派遣留学生の身分や北京大学朝鮮半島研究センター研究員との肩書など多くの経歴詐称問題が指摘されている。もし、「誤解を招く」ことであれば、ここまで度重なる「誤解を招く」ことはあるのだろうか。しかも、ご本人が「コラムニスト」で、物書きのプロである以上、言葉の表現について人並み以上の能力をもっているはずだが、このような「誤解」の連発はありえるのだろうか。「確信犯」と言われても返す言葉はないだろう。

 「誤解を招く」ことの罪と、「嘘をつく」ことの罪は同等に語れるものではない。もっと素直に謝れなかったのだろうか――。「ごめんなさい。嘘をつきました」と。そこで、もう一回再起を図る。きっと彼には出来ると思う、生命力の強い青年だから・・・