尖閣とウラジオストク、中国財経時評「愛国には勇気が必要か」

 中国のウェブサイトで見つかった記事「愛国には勇気が必要か、ある人たちには必要で、ある人たちには不必要」(「新浪ブログ・財経時評」、2012年12月6日アクセス)を邦訳し、以下全文転載する。

 愛国には勇気が必要か、ある人たちには必要で、ある人たちには不必要。

 本物の愛国には勇気が必要だ。国家の本当の歴史、本当の現状を示すには、勇気が必要だ。虚偽の愛国には、勇気が必要ではない。リスクもない、安っぽい芝居で十分だ。このような愛国芝居を上演するには、肝心なのは道具選びだ。ここで一つ簡単な方法を、愛国賊どもに教えよう。たった7文字しかない――反米反日不反露。聖上からの命令でござる――反米反日を許可し、ただし反露は不可とする。
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 多くの愛国賊どもはすでにこの聖上の7文字命令を熟練に運用しているのである。たとえば、連中らは「釣魚島」(訳注:「尖閣諸島」の中国名)を騒いでも、「海参崴(ハイセンウェイ)」(訳注:「ウラジオストク」の中国名)にはほとんど触れない。

 この二つの場所は現在いずれも、中国人の統治下に置かれていない。が、果たしてこの二つの場所のどっちが、「中国の固有領土」に近いのだろうか。ここで比較してみよう。

 1.歴史上、中国人がもっとも早く足を踏み入れたのは、海参崴。遅くても唐朝に、中国人がすでにこの土地で活動していたのである。釣魚島は?早くても明朝に遡る。

 2.中国の歴史上の各朝政府による統治。海参崴は、唐朝に渤海により設置された率賓府の所轄に属し、金朝が成立すると恤品路と改称される。元朝になると水達達路管下に置かれ、清朝初期に寧古塔副都統に属し、後に琿春副都統の管轄に区画される。しかし、釣魚島はかつて中国の歴朝歴代によって直接に統治されたことがない。まあ、それもそうだ。これっぽっちの無人島は、当時の人の眼中になかったろう。

 3.紛争当事国が認めたことがあったのか。康熙帝時代の大清帝国とロシア帝国との間で結ばれたネルチンスク条約では、海参崴が清朝に属すと明確に記されていた。中華民国時代に締結された「中ソ友好同盟協定」では、ソ連が中国の海参崴に対する主権を認めると明文規定されていた。しかも、ソ連は1996年までに同地に駐屯するすべてのソ連軍を引き揚げると同意していた。

92136_3ウラジオストクの街並み

 4.二つの場所の面積の比較。海参崴は600平方キロメートルであるのに対し、釣魚島はわずか4.3平方キロメートルで、前者の1%も満たない。

 5.二つの土地の価値の比較。海参崴は不凍の天然良港を有し、漁業資源が豊富であるだけでなく、世界的にも有名な観光リゾート地である。釣魚島は天然ガス資源を有する。

 6.二つの場所の現状。海参崴はロシア極東地区の最大な都市、交通中枢、軍事要地である。釣魚島には淡水がなく、いまでも無人島である。

 明らかなことに、海参崴も、「古来中国固有領土の一部分である」。だが、このようにどう見ても中国の領土である海参崴に対しては、中国人はいま、完全にロシア名である「符拉迪沃斯托克(ウラジオストク)」と称しているのである(皮肉なことに、「東方を征服する」という意味なのである)。それだけでなく、2012年になんと首脳がその地まで出向いてロシア主催のAPECにまで参加していたのであった。台湾だけ、大陸人が言っている「符拉迪沃斯托克(ウラジオストク)」のことを、依然として、「海参崴」と称しているのである。

 愛国賊どもよ、釣魚島だけを主張しても、なぜ、海参崴を主張しないのか。実に理解に苦しむ。いくつかの原因が推測されるだろう。

 愛国賊たちは貧しすぎて、高価なナマコ(訳注:「海参崴」の「海参」が中国語で「ナマコ」の意味である)に手が届かず、普通の魚しか食えない。

 (ロシアの)スターリンがかつての義理のオヤジだった。それにしても、義理のオヤジが死んでもう何十年も経ったのではないか。

 南京大虐殺があったから、日本を恨んでいるか?では、江東64屯・海蘭泡大虐殺(訳注:1900年7月16日ロシア軍はブラゴヴェシチェンスク在住の中国人3000人を虐殺してアムール川に投げ込むと、対岸の黒河鎮、愛琿城を焼き払い避難民を虐殺した事件)は忘れていいのか?愛国賊どもがあまり勉強していないせいか、連中らはこういった大虐殺を知らないのである。

 ノミが多すぎて刺さなくなる、借金が多すぎて開き直るというが、土地の割譲が多くなると、どうでもよくなるのか。ロシアが中国から160万平方キロメートルもの土地を奪い去ったことを知らないのか。

 見よ。釣魚島は騒いでいるが、海参崴が泣いている。もっと見よ。ロシアの「符拉迪沃斯托克(ウラジオストク)」は嘲笑している。「東方を征服する」と掲げ、東方のいわゆる愛国者たちを大いに嘲笑しているのである。

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