助からん

 この数日、日系企業顧客から深刻な事態(人事問題)の報告とヘルプコールが何本もかかった。われわれコンサル会社はこのような緊急コールで大きな得点が稼げる。正直いうと、日系企業には問題予防よりも、問題解決、消防隊的な出動で得点(お金)が稼げるのだ。

 顧客の不幸がわれわれの利益になるわけだ。ここ1年、数えきれないほど緊急事態を処理してきた。短期間に問題を解決し、助かったと感謝されるシーンもたくさんあった。けれど、問題の根絶、抜本的な解決に熱心な経営者はまだまだ決して多数ではない。

 3年や5年、総経理任期中に大きな問題がなければよいと願って、痛みを伴う改革をためらう経営者の心情はよく理解できる。時限爆弾をどんどん次から次へとバトンタッチしていく企業、この十数年、もう腐るほど見てきた。最近、この方たちの立場もよく理解できるようになった。文句も言わなくなった。

 うちの弁護士に言われるように、いいじゃないか、お客様に言われるように急場を凌げばいいじゃないか、そのほうが稼げるよと。納得よりも、私は疲れたので、もう本気で言わなくなった。どんな緊急事態でもちゃんと対策を打って解決していく。けれど、抜本的に問題は根絶されていないのだ。

 多くの日系企業には、私は絶望している。あと数年、引退するまで粛々と職務を全うし、それだけだ。中国は助からんし、多くの日系企業も助からん。