中国進出や中国撤退、ブームに煽がれるのは本物の経営者ではない

 今日は「労務派遣暫定規定」セミナー。最後の質疑に、こんなQ&Aがあった。

 「人件費がどんどん上がって、当社はもう利益が出ない状態になります。何かいい方策はありませんか」
 「労働生産性を上げるしか方法がありません。大変でしょうが、一人あたりの人件費上昇以上に一人あたりの生産性をあげて、人件費上昇分を吸収していきます」
 「それがいくら頑張っても、生産性がわずかしか上がりません。賃金上昇に追い付きません。どうすればいいんですか」
 「撤退の準備をすぐ始めてください。赤字が出るまでに引き上げて、中国から撤退してください」
 「やっぱりそうですか、撤退が最善策ですね」・・・

 この1年、中国の日系企業の撤退が加速化している。私から見れば、まだ始まったばかりだ。今後3~5年撤退が本格化するだろう。本当なら、3~5年よりもこれから2~3年で、早いうちに撤退すべきだろう。赤字が出るまでに、すぐにでも撤退に着手したほうがいい。傷口が広がる前に、体力があるうちにだ。

 撤退ブームだから煽っているわけではない。私は2007年から、中国進出ブームの時から言い続けてきた。進出すべきではない日本企業が大量に中国に流れ込んだ時期だった。

 中国市場は素人日本企業には無理だ。大手企業のなかでも日本モードの持ち込み、中国音痴的な経営判断が多く、それがとことん血だらけにならないと、諦めないだろう。

 中国でやっていくための要素、戦略、施策、これを論理的に分析することが先決だ。だが、それができない日本企業が多い。残念だ。

 間違った経営判断は、第三者が煽っていることのせいにしてはならない。冷静な経営者は、簡単に煽がれることはない。

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