女工哀史の再演、メイドへの非道と虐待に驚きと怒り

 早朝4時か5時台に起床、深夜まで15~20時間近くの労働。数世代一族の暮らしを支える重労働がいうまでもない。その家事に追われてようやく合間を縫って一息休もうかというと、坊ちゃまのバトミントンの付き合い。打ちっ放しの羽根を一つ一つ拾うのが仕事・・・。

 1日2食、朝はブラックコーヒー一杯、主人の昼食が終わるとやっと食事にありつく。白いご飯一杯だけ、振り掛けしかおかずがない。2回目の食事は深夜、ようやく辛うじて卵ご飯にありつくものの、これも一杯しか与えてもらえない。栄養不調のためか、両手がガザガザ。力を入れると一気に割れてじわじわ血がにじみ出る。あまりにも空腹でふらふらしていて仕事にミスが出れば、怒鳴りつけられたり、殴られて顔の半分が腫れあがったりすることもしばしば。

 これはドラマでも何でもない。私が住んでいる近所のフィリピン人メイドAさんの真実物語(未確認情報も含まれているが)。妻が我が家の食事や果物を差し入れると、「お願いだから止めてください。セキュリティーカメラで見られているから、他人からものをもらうと大変なことになる」と泣きそうな顔。

 警察とフィリピン大使館に届け出るように説得するが、「あと数か月で契約満了で故郷に帰るから、我慢する。家族を養うためのお金が必要だ」と断る。たとえば告発して保護を受けたとしてもせいぜい帰国旅費しか出ないのが現状だ。しかも、このような状況ではどうしても本人自分から被害(被虐待)届を出さないと警察も大使館も動けない。まして他人が代りに何かしようと何もできないのが本当に腹立たしい。

 まったくの人権侵害!怒りが収まらない・・・。ちなみに近所の話では、その家庭(華人)ではすでに短い間に4人も外国人メイドが変わっている。いずれも虐待に耐えられず逃げ出したという。

<次回>

 

コメント: 女工哀史の再演、メイドへの非道と虐待に驚きと怒り

  1. このようなメイド苛めの実態は世界中に溢れているようですね。米国のドラマにもよく出てきます。

    問題はどこにあるのか。

    1)雇用主の倫理観
    2)雇用主を取り巻く社会の法的な未整備
    3)送り出し機関(マフィア?)の問題
    4)送り出し国の法的な未整備
    5)送り出し国の経済的貧困

    立花先生のような高い倫理観をお持ちの方が、地域社会を主導してこのような待遇を止めさせるということは不可能ではないですが、それによってコストが高くなればその雇用そのものが他国へ行くだけということになるかもしれません。そうすると、送り出し国の問題が解決しなければ、本当の解決はやってこないことになります。
    フィリピンは先のハリケーンでかなりの新たな貧困が生まれたことだろうから、この貧困が解決されない限り(リスクや非人間的環境があっても)働きに出る人は絶えないとも考えられます。
    つまり、世界に貧困がある限り、この種の犯罪的行為はなくらなず、貧困がどこから生まれてくるかというと、世界的な経済格差から生まれてくるともいえます。
    その世界的な経済格差の縮図が、その雇用主とメイドさんの関係なのでしょう。
    世界的な経済格差を容認している私たちに、その縮図を非難する権利があるのかどうか。これもまた、難しい問題ですね。

    1. 百田さん、すべてご指摘の通りです。

       すでにこのような動きが出てきているのです。フィリピン人よりも、さらに賃金の安いインドネシア人、カンボジア人、ミャンマー人メイドが最近どんどんマレーシアにやってきています。どちらかというとフィリピン人は英語ができ賃金が高いので追い出されているのです。ご指摘のなか、メイドの送り出し国と受け入れ国の法整備を言及されています。それは法はちゃんとあるのです。にもかかわらず、虐待を受けながらも自分の権利を守ろうとせず(できない?)、法で問題解決を望まないメイドを目の当たりにして涙ぐむものです。

       法が及ばない世界の問題では、倫理道徳で解決するしかありません。すべてのマレーシア人がメイドを虐待しているわけではないことは分かっています。でもその個別の悪人がどうしても目立ってしまいます。かといって何ができるのか、私たちには何もできないことは本当に悔しい!ここのところ、妻が決まった時間に食べものや飲み物をコンパクトにパックして、密かに彼女に渡しているそうです。これがすべて私たちにできることなのです。

       最後におっしゃること、心を突き刺されます――。「世界的な経済格差を容認している私たちに、その縮図を非難する権利があるのか」。その通りです。私たち一人一人がある意味でこの種のメカニズムに加担しているのです。私自身もその一人です。とっても恥ずかしい。すみません。

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