北京上空を旋回続けるマレーシア航空機、一瞬緊張した空気が・・・

 午前0時、搭乗中のマレーシア航空360便、北京上空に接近しても一向に降下する気配がない。ついに旋回が始まった。いつもの空中渋滞かと思ったら、操縦席から機長の低い声でアナウンスが入る。

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 「皆様ご搭乗の機体に、機械的な問題が発生しました。これをクリアするまでには着陸できません。引き続き上空を旋回して問題の解決に取り組みますので、今しばらくシートベルトをしっかり着用の上お待ちください」

 えっ、耳を疑う瞬間だった。英語放送では、「We have technical problem to be cleared before landing・・・」としっかりしゃべったのを聞いて、もう一回中国語放送を聞くとやはり、「技術性故障」だった。

 座席前のモニターに映り出されたフライトマップでは、反復旋回の航跡がしっかり確認できている。飛行データを見ても分かるように、目的地までの距離はどんどん離れたり近づいたり、もう一回離れたり・・・。しかし高度は、ほぼ2000メートルに維持され、機外気温も-10℃前後に一定している。近くに飛行中の他の飛行機がどんどん高度を下げて着陸していくライトを見ながら、旋回を何回も何回も繰り返している。

 乗客は騒ぐ人一人もいない。だが、チーフパーサーとフライトマネジャーが真っ暗の機内をゆっくり往復し、度々窓外を覗きこんでいるのが見え、客室内の空気が凍り付いた。

 40分ほど旋回を続けて、「これから着陸します」のアナウンスが入る。さすがに「衝撃に備えて姿勢を低くして頭を抱えろ」という指示はなかったので、とりあえず少し安心した。

 0時53分、北京首都空港の滑走路にマレーシア航空360便はランディングした。汚れた深夜の寒気に包まれる北の大地がこんなに美しく見えたのは初めてだった。

 今朝起きて一番、北京空港の出発案内を確認することだった。案の定、私が乗ってきたマレーシア航空360便の戻り便で北京発クアラルンプール行き361便は、未明1時30分の出発がキャンセルされ、今日の夜18時30分発に遅延するとの表示が出ていた。かなり大がかりの機体の点検とメンテナンスが入ったのだろう。

 機体の何か一つのデータに少しでも異常があった場合、いつもよりも神経質になっているのがマレーシア航空。先日も上海便で半日以上の遅延があった。昨年のマレーシア系航空会社の連続事故でおそらくピリピリになっているのだろう。まあ、無謀な運航よりはよほどマシだ。