木津さん業務参加白紙撤回、素晴らしき人生は価値の選択

 昨年12月25日付ブログでも掲載した、私のロイター通信社香港駐在時代の部下で、現在謙信アセットコンサルティング(香港)代表の木津英隆さんの当社エリス・コンサルティングへのパートナー参加と上海赴任は、白紙撤回となった。

 昨年末、木津さんがクアラルンプールへ相談に来られ、中国企業法務や人事労務コンサルの専門スキルを勉強して仕事をしたいので上海勤務に転向できないかとの打診があった。私はそれを受け入れた形でいったん調整に入り、就業ビザのサポートや事務スペースの準備にまで着手し、一部の顧客企業にも告知した。(2014年12月29日付木津氏ブログ

 その後、7月に予定された赴任に向けて、何回か実際に私のセミナーや打ち合わせにも同席してもらい、相性確認的なウォーミングアップ段階に入り、個人生活面についてもいろいろ相談があったところ、いくつか課題が浮上した。その辺、個人のプライバシーにかかわるもので、途中経過を飛ばして結論をいうと、課題は木津さんによる二者拓一的な選択を必要とするものであった。

 一つ主な原因は異業種転入の障壁と周辺リスク、もちろんこれは双方に対するものでもある。当社は非常に小さな零細企業で、マンパワーがかなり制限されている。専門性の高いスキルの習得は短期間の猛勉強、エネルギーの集中的投入が欠かせない。その分個人の生活を楽しむ余裕の喪失といった犠牲を余儀なくされ、またこれに抵抗する要素に伴うリスクとコストも付随する。

 昨日、「○○を最優先としたい」と木津さんから明快な選択回答を得た。次なるキャリアよりも、次なる人生の舞台に価値が置かれることに本人の姿勢が鮮明に見えた。また昨日の木津さんご自身のブログでも、「香港の街並み、香港の人々、香港のビジネス環境、どれを取ってもやはり自分に一番しっくり来るのはここしかない、そしてやっぱり香港で暮らすのが一番楽しい」と心情を述べられ、思わず深く納得した。

 人生も経営も選択の連続である。戦略というのも選択の積み上げである。選択の結果がどうであれ、自分が納得する選択そのものが最大な意義を持つ。他人の助言よりも、自分の選択は自己価値の反映であって、主体が付随するだけに恒久的納得性を得られる。そういう意味で木津さんの決断に拍手を送りたい。

 今後も木津さんは香港で今までやってこられた個人投資アドバイザーの仕事に専念され、顧客により高い付加価値を提供することを信じているし(私自身も彼の顧客である)、また人生の先輩や友人としても最大の協力をしていきたいと思う。

 最後になりますが、木津さんの上海赴任と業務担当について、一部すでに告知した弊社顧客企業や関係者の方々には本稿内容の通り、謹んで訂正のご案内をさせていただきます。