ベトナムは甘くないぞ、失敗の法則と自己否定の苦痛

 「中国とベトナムの企業経営を比較するようなセミナーをやってくれませんか」。今年に入って、このようなリクエストは在中と在越日系企業の両方から寄せられている。

 やりますよ。目に見える計測可能な諸費用、可視的コストは各リサーチ専門機関から発表されたデータを参照すればよく、私は潜在的不可視コストにフォーカスして管理会計的目線で課題を提示していくつもりだ。6月にベトナムのハイフォン、ホーチミン、そして7月以降上海と東京でもセミナーを企画している。

 4月2日付の産経新聞によれば、上海市在留邦人は2年連続減、14年10月時点で約4万3000人に減少している(ピークは2012年の5万5800人)。一方、在ベトナム日本大使館の在留邦人数で見ると、この3年以上に渡り毎年2桁を下らない増加率となっている。

 私自身がベトナムで企業訪問をしていると、以前中国駐在だった方が多くおられ、なかに中国で私のセミナーを聞いたことのある方も何人かおられた。

 そういう意味で、中国からベトナムへのシフトが事実であり、またフレッシュな話題になった以上、両国の相違点を知りたくなるのもごく自然の流れであろう。ただ、もっと大切なことがある。それは、何か共通のものを見つけることではないかと思うのだ。失敗にはかならず共通した法則があるからだ。

 失敗の本質に近づくことに自己否定の苦痛が伴う。この苦痛に耐えられてこそ次の一歩を踏み出せるものだ。ベトナムはそう甘くないぞ。