死や滅び畏れるな、克服と復活の歓喜に昇華するマーラー2番

 今日土曜、また月例のコンサート日。そういえば、前回3月21日分、マーラーの2番を書く時間がなかった。タクトを振ったのは76歳高齢のベンジャミン・ゼンダー氏(マレーシア・フィルハーモニー管弦楽団)。

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 少なくとも私にとっては、ブルックナーと同じくらい、マーラーは難しい。ブルーノ・ワルターいわく「マーラーは一生を通じて神を探し求めたが、ブルックナーは神を見た」。まさにそう感じた。神に程遠い人間にとってそう簡単に届かないものであろう。

 ただイマージネーション的に、何か見出せないかと一生懸命だった。

 第5楽章、決然とした男声合唱――。死を恐れるな!滅びを恐れるな!

 生まれて来たものは、滅びなければならない。
 滅び去ったものは、蘇らねばならない・・・。

 官能的なバイオリン、ソプラノが入る。そこで、死は克服され、光のもとへと舞い上がる。翼をもって上昇し舞い上がってゆく。高く、高く、彼方へ舞い上がる。

 私は再び生きるために死ぬのだ!
 蘇る、そう汝は蘇るのだ・・・。

 オルガン、天界の鐘が鳴らされ、死の悲哀は歓喜に転じ、雄大なクライマックスを迎える。

 ここまでくると、もはや超宗教的すら感じられ、いや間違いなく超宗教的であって、哲理や信条の示唆であろう。死や滅び、惨敗で萎縮することなく、これらを克服し、弱りきった自身のマインドを蘇らせ、そして復活してゆく。

 たくさんの力をもらった。