昨日、上海で「中国からベトナムへの生産拠点・産業移転~課題と方向」勉強会を開催した。
中国で初のベトナム関係のセミナーで、集まるかと思ったら満員。参加者全員が大きな興味を示し、びっしりとメモを取る方も多数おられ、少々驚いた。「ぜひ、ベトナム現地法人のほうでも社内研修をしてくれないか」との依頼・問い合わせも相次いだ。
中国とベトナムはしっかりつながっているのだ。大手企業の場合、中国からベトナムへの移転といっても、根こそぎ全撤退ではなく、一部事業の移管という事案がほとんどである。したがって、業務の整合性や補完性といった観点からの一体化がもたれている。
昨日の勉強会では、主にベトナム経営現場の7大課題をめぐって展開した。
① 管理職人材の採用難・定着難
② 現地人材の能力と意識問題
③ 人件費コストの上昇
④ 不正など労務管理・内部統制上の問題
⑤ ストライキ・労働闘争のリスク(TPP後)
⑥ 法制運用の多義性・任意性
⑦ 部品現地調達難・裾野産業の立ち遅れ
ほとんど人事労務分野の課題である。7番を除いて、ほかの6課題は中国と共通している。ベトナムと中国は、儒教や社会主義といった文化的、政治的、社会的共通点をもっているだけに、類似性が多い。どこが違うかというと、ベトナムはフランスを追い出し、戦争でアメリカ(ベトナム戦争)や中国(79年中越戦争)を負かしたことくらいだろうか。強い小国ベトナムである。