<KL>王道派和食「一心」、一心不乱に食す51歳誕生日

 10月20日、51歳誕生日。家族と一緒に食事。場所はクアラルンプールのスバンジャヤにある日本料理店「一心」。

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 誕生日のディナーといえば定番の洋食だが、今年は和食に切り替えた。肩が凝らない。格式ある洋食レストランまでいかなくとも、短パンとTシャツではさすがに入り辛い。ワインもいいが、やはり日本酒や焼酎が自分に合っている。

 そんな気取らない誕生祝いで選んだのは「一心」。

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 海外の日本料理店は軒並み日本人客で食えなくなった時代である。90年代香港や上海に駐在していた頃、日本人が日本料理店の上客。9割以上が日本人客という店も珍しくなかった。それがここ十数年で情況が一変した。客比率が逆転してしまうほど外国人客が増え、日本人客が減った。

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 日本料理が普及したこと、日本人の消費が相対的に委縮したこと、いろんな原因が錯綜している。そこで日本人の口に合ういわゆる正統派和食よりも、外国人の味覚や嗜好を意識した新日本料理が全盛期を迎えた。

 王道から外れた日本料理も立派な商品ではあるが、個人的にはまったく違和感を持たないわけではない。マーケティングと自身の個人的嗜好は別問題だ。極端の話、カラフルなカリフォルニアロールがトロピカル化したところ、フルーティーなテイストも悪くはないが、やはりちょっと違うじゃないかと思う。

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 「一心」は王道派日本料理店である。食材の多くは日本から輸入している。それはコストがかかる。コストがかかると儲からなくなる。それでも店をやるというのは、オーナーの価値観にかかっている。

 美味しい料理は、決して量産できない。経営学と切り離して、美食家として私はめったにチェーン店に行かない。食材の一括仕入れ、セントラルキッチン、レシピや調理工程の標準化、店舗の繁殖・・・。これは工業化だ。ついに客として流れ工程のなかに置かれる実感が湧かずにいられない。

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 一食を食べれば、人間は死ぬまで一食分が減る。だから、一食一食を大切にし、決して粗末にしない。その一食一食を吟味して人生を謳歌する。一生懸命、そして一心不乱。

 そんな一心不乱な一食、51歳の年輪を刻みこんで、素晴らしい店「一心」で頂きました。

日本料理「一心」
住所:CT-01-17 1st Floor, Corporate Tower Subang Square, Jalan SS15/4G 47500 SubangJaya, Selangor  
電話:03-5631-0754
定休:日曜日