水を見ずして舟に乗るなかれ、立花流日中政経関係論

 政冷経冷→政熱経冷→政熱経熱→政冷経熱→政冷経冷

 戦後の日中関係史をたどって見ると、いろんなギザギザがあっても概ねこのトレンドである。両国の経済は基本的に政治(殊に中国政治)に制御されていることに気付いてほしい。

 日中関係が注目される世の中だが、とりわけ大方の日本人は政治よりも、経済を見ている。それは違うと私はいつも言っている。まず経済を制御する政治に目を向けるべきだと。

 「水則載舟、水則覆舟」。中国の古典は君と民の関係を舟と水に喩え、「水は則ち舟を載せ、水は則ち舟を覆えす」と説いている。この文脈は日中の政治と経済にも通ずる――。

 政治は水であり、経済は舟である。

 であれば、「水を見ずして舟に乗るなかれ」と言いたくなる。舟に乗るなと言っているのではない。舟に乗らなければ漁ができない。漁をしなければ魚が手に入らない。ただ水の流れを見て乗ったほうがいい。乗る舟も選んだほうがいい。定員超過になった舟はより危なくなるからだ。

 一方、水の流れがいよいよ危なくなると、舟から乗客がどんどん降りていく。すると舟が軽くなるし、獲れる魚の量も増える。それは大変美味しい話である。さあ、泳ぎ得意な人の出番だ。救命胴衣をしっかり身に着けて、さらに助け舟の位置も確認しつつ、漁を続けるのだ。大漁が期待できるかどうかは、各人の腕次第。ただ大漁できるのはほんの一握りの人に限られる。これだけは間違いない。

 「本日天気晴天(?)なれども波高し」

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