「騰籠換鳥」の中国とその移転先、上海でベトナム移転セミナー

 中国でなぜ、ベトナム事業関連のセミナーをやるの?というよりも、顧客企業からのリクエストがあってのセミナーである。2月22日に、上海で日系企業向けに「中国からベトナムへの生産拠点・産業移転~課題と方向セミナー」を開催する。

 中国からベトナムへの生産拠点の移転事案が増えている。「中国撤退の日系企業の25%がすでにベトナムへ移転している」。ジェトロ・ホーチミン事務所の安栖所長がメコンデルタ投資関連のセミナーでこう述べた(2015年11月21日付ベトナム国内英字紙「トゥオイチェー・ニュース」記事)。

 「移転」という定義を考えると、必ずしも「撤退」の後続結果とは限らない。たとえば、私が担当している大手日系企業では、中国から根こそぎ全撤退するケースが稀で、中国事業の一部をベトナムにシフトするという「部分的移転」がほとんどである。それが「撤退」のうちが入っていなければ、逆に内実としての「移転」のボリュームがもっと多いのではないかと。

 グローバル規模の産業配置調整それ自体が、経済や市場のメカニズムに起因する企業行為で、政治的目線は余計だ。なによりも、中国自身も「騰籠換鳥」という産業政策を掲げている。つまり、労働集約型産業という古い鳥を追い出し、鳥籠を空けてハイテク産業という新しい鳥を迎え入れるというわけで、むしろ現状は中国の産業政策に沿った展開である。

 ベトナムとしても、外国資本と技術がほしい。90年代の中国のように投資誘致に熱を出している。これも同国の国家産業政策で、それに呼応して大量の製造企業の転入は、よろしいことではないだろうか。

 そうした市場の流れのなかで、在中日系企業の一部がベトナム移転を視野に入れ、スターディが始まっている。これも異論を挟む余地がなく、いやむしろ緊迫な課題に取り組む姿勢が評価されるべきであろう。現に、私がベトナムの企業現場で多くの中国から転勤してきた日本人幹部にも会っているし、さらに台湾企業などは中国人幹部をベトナムに送り込むケースも珍しくない。いわゆる中越間の人的流動も増加してきている。

 というような背景で、今回の上海での「ベトナム移転セミナー」は、在中日系企業に、目下のベトナムのホットトピックスを取り上げて、分かりやすく説明するつもりだ。

【予定主要内容】
 ● ベトナムにおける製造業の優位性・問題点・課題
 ● 現地調達・産業集積課題と「裾野産業育成」政令111号
 ● ベトナムの市場としての評価と展望
 ● TPP発効後のベトナム投資環境の変化
 ● 在越日系企業の人事労務管理の現状と課題
 ● TPP発効後のベトナム労働法制・雇用環境の変化
 ● 日本企業にとっての「ベトナム VS 中国」
 ● ベトナム投資進出と事業成功のキーポイント

 詳しくは、こちら

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