アラブの旅(4)~バーレーンの長い1日、歴史と自然と現在・・・

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 12月30日(金)、バーレーン視察・観光の日。

 金曜日は礼拝の日にあたり、異教徒のモスク入場はできず外観のみの見学となる。それでも十分に壮観だ。グランド・モスクはバーレーン最大規模、一度に7000人を収容できる巨大モスクである。

 どこにいっても宗教建築が観光のメジャーとなる。自分は宗教をもたない人間だが、宗教建築には大きな興味をもっている。歴史学や建築学、社会学ないし経済学といういろんな側面から宗教建築を見ることができるので、面白い。

 バーレーン国立博物館。石器時代からディルムン時代、イスラムにいたる歴史の変遷や、古墳の展示、民俗の展示、予想よりも価値ある展示物で充実していたため、予定時間を伸ばしてゆっくり見学した。

 ラクダ牧場。動物好きにはたまらない。レース用に使われるラクダなど、赤ちゃんラクダを入れると200頭を超えるラクダを擁する牧場は、雄大だ。

 不思議なことに、この観光牧場は入場料無料である。いやそれは珍しくない。ただ入場料無理でも必ず土産売店やレストランを併設して利益を出すわけだが、ここはラクダ以外には何もない。どう稼いでいるのだろうか。

 石油博物館・第1号油井と油田地帯は今回視察のメジャー。

 アラビア半島の石油時代の幕開けとなったのは、1932年のバーレーンでの油田第1号の発見だった。なお、1934年に初出荷された原油は日本向けだった。

 砂漠・油田地帯の真ん中、砂丘の頂上に1本だけ立っているのが「生命の木」。1滴の水もないため、周囲数キロメートルにわたって他には植物がない。それでも、この巨木は4世紀も生き続けており、自然がもたらした奇跡である。

 午後は、アルアリーン野生動物公園でランチをとって見学して市内に戻る。バーレーン最大のショッピングモールであるシティ・センターで軽く視察。

 各店舗を覗いてみると、しっかり客が入って商品を吟味して買っているのだ。産油国の富裕層の消費はやはり桁が違う。

 本日の最後に訪れるのは、バーレーン要塞。メソポタミア文明とインダス文明を結ぶ交易の要衝として、紀元前2300年頃に栄え、古代都市ディルムンがあった場所と考えられている。世界遺産にも登録されている。

 夕陽を浴びて、蘇ったような遺跡は我々に何かを語りかけようとしている。何だろうか・・・。

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