アラブの旅(25)~ドバイと中国人、そして「Made in PRC」

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 ドバイは、中国人の富裕層にもっとも似合う街であろう。何せ、「ゴールド・スーク」たるものがドバイの観光名所となっているのだ。

 狭い横町をぶらぶらしていると、突然と金色の世界が現れる。数百店もある宝飾店がずらりと並び、どのウィンドウにも金やプラチナ、ダイヤモンドが所狭しと陳列・展示されている。投資用の金の延べ棒も売られている。

ゴールド・スークの店頭

 夕方のゴールド・スークは、黄金色に輝いている。金、金、金・・・、金の世界だ。予想通り、中国人観光客の軍団が次から次へとやってくる。日本人と違って、彼らが狙っているのは21~24カラットの金・宝飾品である。銀聯カードで決済して金を買うこともできるので、ある意味で中国の外貨流出は実に多くのチャンネルをもっているのだ。

 そういえば、このゴールド・スークにある数百店舗の商品の総額はいくらだろう。天文学的な数字ではないかと。特に夜間の保安はどうなっているのだろうか。

ゴールド・スークの隣にはスパイス・スーク

 ドバイでは、アラビアン風の茶器などの土産を買おうと、ショッピング・モールで物色すると、どんなアラビアン風の商品でも、その大半は「Made in China」だ。

 あった、あった、これは中国製じゃないよと、店員が興奮気味。手にしてみると、「Made in PRC」になっていた。店員はどうやら「PRC」が「中華人民共和国」の頭字語であることを知らなかったようだ。

アラビアン風の照明

 これはもしや確信犯ではないかと、私はすぐに性悪説的に考える習慣がある。店員も知らないのだがら、中国製であることを知らずに買っていく客がいてもおかしくないだろう。わざわざ中東までやってきて、中国製の土産を買わされるとは気が滅入る。中国人を含めてそう考えている観光客も多いはずだ。

 最終日、ドバイ国際空港で飛行機に乗って帰国するが、その空港の出発ホールで目を引かれたのは、大きな広告である――「中国・義烏小商品城」。なるほど、これで納得する。

ドバイ国際空港出発ホールの広告

 ドバイの裏には、義烏があったのだ。「Made in China」の原点である。

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