アラブの旅(26)~奥さん何人ほしい?一夫多妻は社会貢献

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 複数の奥さん、それぞれの奥さんの子供たち、そしてメイドを連れて大人数でレストランで食事をする。アラブ社会では、これは日常茶飯事。旅行中には何回も目撃している。

マスカット市内某レストランの「多妻家族」の食事風景、右手前はメイド

 観察していると、大体第1夫人が大人しく言葉少なげだが、第2夫人以下の若い夫人は明るく、また寵愛されているようにも見える。まあ、男が若い女性を好むのが万国共通だが、不倫でなしにきちんと娶ることができるのは、アラブのイスラム社会の凄いところだ。

 現地の観光タクシーの運転手にその話をしたら笑われた。「そんなに珍しいんですか。私のお父さんも3人の奥さんいて、子供22名もいますよ。実は今インド系の若い女性を4番目の奥さんにしようと、家庭会議で交渉してるとこですよ」

 一夫多妻とはいえ、旦那が勝手に娶れるわけではない。一応家庭内の手続きとして、先住夫人に伺いを立てるらしい。第2夫人なら、第1夫人から許可が出ればOKだが、第4夫人になると、上位から第1、第2、第3夫人の承認・合意を得る必要があるので、難関が多い。

 一番大変なところは、複数の妻を平等に愛し、接しなければならないことだ。それは心情的なものではなく、あくまでも物的要素である。つまり、金銭と時間の平均配分である。

 全員に同じ大きさの住宅を与える必要がある。一人ひとりの妻の家に滞在し、寝泊まりする時間も基本的に均等にしなければならない。たまに妻全員集合して懇親会のような食事の場を設ける場合は、外食が便利だ。

 一夫多妻。金銭的余力のある男性が複数の女性の生活を保障するのは、立派な社会貢献である。貧困女子の問題もこれで緩和、解決できる。どこも悪くない。さらに1つの家庭から複数の家庭に規模が拡大することは、消費増大にもつながり、経済成長にも貢献する。どう考えても社会にとって善である。

 これはアラブ社会の価値観であろう。

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