「真の経営者」とは、ベトナムの経営現場所感

 2月8日(水)、ハイフォン出張滞在。顧客企業との打ち合わせや相談、夜は日本商工会の講演と、充実な一日だった。

 感じたことは、最近日系企業においても「真の経営者」が増えたことだ。語弊があるといけないので、説明する。私が定義する「真の経営者」とは、企業(ここでは海外現地法人になるが)のことを少なくとも5年から10年スパンで考えているトップのことだ。

 海外現地法人のトップ・経営陣は、必ずしも経営畑出身ではない。さらに雑多な経営と管理業務を引き受けているだけに、なかなか長期的な経営目線をもつ余裕がない。そうした現実をまず認めないといけない。すると、日々常に変わる現地の法令や政策、情勢に翻弄されながら、苦戦している場面が多い。

 日々の戦いに追われながらも、あえて目前に発生していない長期的な事柄にフォーカスしてみる。「いまは、うまく行っているのだが、この先もうまく行くのだろうか」という問答を常に繰り返す。簡単そうに見えるが、ここまで余裕をもてることは尋常ではない。むしろ、時には過酷だ。

 その過酷な「真の経営者」の要件をクリアして、雑多な特殊事例から一般的原理法則を見出そうとする、このような姿は真に尊敬に値する。

 「ベトナムという国柄、元共産圏・社会主義国家としての共通項を見出したい」。ロシア視察からベトナムに帰ってきた某日系企業幹部A氏の話を聞いて、思わず連想したのは自分が取り組んでいる中国の仕事だ。

 このような共通項を一般論として原理法則化するのが、経営者の仕事である。またこれが長期的な経営の目線につながる重要なツールでもある。