何年食べ続けても、底なし美食の街シンガポール

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 シンガポールは世界で唯一、ミシュラン星付きの屋台で2シンガポールドルという格安の値段で食べられる街だ。というふうに切り出したところ、私は決してミシュラン信者ではないことをも付言しておこう。

あの名物料理のチリクラブ

 むしろ名誉ある賞は、シンガポールという街全体に与えて欲しいくらいだ。数度シンガポールを訪れ、行き当たりばったりにいろんなレストランや屋台に入ったところ、外れたことは一度たりともなかった。

レンダンビーフ(牛肉の香辛料とココナッツミルク煮込)

 美食文化も都市国家シンガポールの国策だったかどうか研究したことはないが、現に多くの美食家がこの国にやってきたことは事実である。

これも名物、フィッシュヘッド・カレー

 私はある見積りをしたことがある。シンガポールの食について、すこしテーマを絞り込んで、一通り食べ尽くすとすれば、1000食分は必要だ。さらに同種料理の食べ比べもすれば、最低でも1万食分の世界になる。

 1日3食欠かさず、数年間ただひたすら食べ続ける。その末、「シンガポールの食文化」たる大論文を世に送り出す。コストの問題はさておき、体はまずもたない。

 ちなみに私自身の「平均ハズレなき度」を基準とする評価として、シンガポールと肩を並べる美食の街(アジア)は、大阪、香港、台北とハノイである。

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