オークラ台北滞在雑想、同じ中華圏のオークラ比較

 台北出張の滞在先、オークラ台北(大倉久和大飯店)はとてもいいホテルだ。

 台湾ほど、「日式」にマッチし、日本との親和性をもつ国も少ない。オークラ台北の「日式」は基本的に違和感なく現地に溶け込んでいる。裏返せば、台湾的な「日式」は誠に心地よい。

 どうしても、私は、上海のオークラ・ガーデン(花園飯店)と比べてしまう。同じ中華圏と思えないほどの異質性を感じるからだ。

 少し前のことだが、上海オークラのベルボーイが上海語の放送禁止用語を口にするところを目撃したとき、さすがに一瞬耳を疑った。誤解なきようお願いしたい、私は決して上海オークラの管理を非難しているわけではない。それはもはや制御不能な部分であるからだ。

 従業員個人の素質もあるだろうが、サービス業そのものに対する認識や感知の問題がさらに大きいだろう。中華圏におけるサービス業に対する目線が総じて日本人が考える「職人」や「匠」の世界とは程遠い。殊に大陸の場合、それが顕著である。

 おもてなしに喜びを感じるどころか、下等の仕事として自己卑下すらするような人では、良いサービスを提供できるはずがない。上海某外資系ホテルの日本人マネージャーA氏がこう語った――。

 「もう、教育でできる世界ではない。サービス業そのもの、自分の職業を見下すような人間では、教育なんかできません。教育に抗体をもっているからです。クレームがあれば、私が謝りに行くだけです。その繰り返し、それが私の仕事」

 と、いろいろ上海のことを思い出しながら、オークラ台北の快適な滞在を満喫。