KLの休日、星の王子様ならぬメイドが観光に行く

 日曜日、フィリピン人メイドは休み。タクシーをチャーターして、クアラルンプールの1日観光に出かけさせた。

 ふと思い出せば、彼女が我が家で仕事をして4年になるが、まだツインタワーも行ったことがない。本人はそんな観光に興味がないと言い張っていたが、行きたいかと聞いたら大喜びして頷いた。

 妻が数百リンギットを握らせ、行きたいところへ行って、食べたいものを食べなさいと言ったら、さらに大喜びした。ツインタワーを回って記念写真を撮り、身銭を切って行けないKLタワーに上ってパノラマビューを楽しみ、チャイナタウンもぶらぶらし、レストランで食事を食べて夕方に帰ってきた。

 あの明るい笑顔、本当に無邪気な明るい笑顔をみたとき、私は目頭が熱くなった。

 メイドにタクシーをチャーターして観光に行かせることは、ここマレーシアでは恐らくあまりない。マレーシア人に言わせたら、「ご主人がクレージー」と笑われるかもしれない。いや、クレージーでもなんでもいい。彼女に喜んでもらいたかった。

 会社の従業員なら、毎年海外旅行を楽しんでいるのに、メイドだけは違う扱いして良いのだろうか。メイドについて、マレーシアは厳格な「階級」社会である。メイドにはご主人一家とまったく別物の粗食を与え、水道水を飲ませている家庭も多いし、中に虐待行為も数多く見られている。まったく容認できないものだ。

 周りの同胞メイドと情報交換をしている我が家のメイドは恐らく、自分の相対的好境遇を自覚したのか、とてもよく働いてくれるのだ。仕事には厳しくルールもあり、結果評価もする一方、彼女が受け取るべきリターンはしっかり与える。短い人生のなかでも数年同じ屋根の下で暮らすご縁を大切にしたいと思う。

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