南部アフリカ紀行(17)~虹と共に、ジンバブエからザンビアへの国境越え

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 5月12日(土)午後、ザンビアへのミニ視察。

 午前中のビクトリアの滝を見学したあと、そのまま徒歩北上し、ジンバブエとザンビアの国境を目指す。歩くこと10分、まずはジンバブエ側のボーダーポスト(Boarder Post=出入国・税関手続事務所)に到着。

ジンバブエ側のボーダーポスト

 出国審査場といっても簡素な事務所窓口のようなものだ。昼の時間帯もあって出国者が少なく、すぐに順番が回ってくる。顔も見ず、パスポートにパーンッとスタンプするだけ。ここからは、ザンビアへの入国の道のりがまだまだ長い。

ジンバブエ出国

 現今、税関の手続き共有化・業務効率化目的で、多くの国同士の陸路国境では、ワンストップボーダーポスト(One Stop Border Post=OSBP)が採用されている。OSBPでは1回で手続きを済ますことによって国境を通過する物資の滞留時間を短縮し、物流の促進を図るものである。しかし、ジンバブエとザンビアの場合、従来通り出国側と入国側それぞれの手続きが必要とされている。そのため、トラックが長蛇の列をなしている。

 ジンバブエを出国してしばらく歩くと、ビクトリアフォールズ橋が目の前に現れる。ザンベジ川に架かるこの橋は、ビクトリア滝のすぐ下流にあり、ジンバブエとザンビアを結んでいる。

後日ジンバブエ側から望むビクトリアフォールズ橋の全景

 鋼鉄で造られた橋の長さは250メートル。メインアーチのスパンは156.5メートル、水面からの高さは128メートルである。鉄道線路と道路・歩行車道が併設されている。米国土木学会はこの橋を歴史的構造技術ランドマークに登録している。

ビクトリアフォールズ橋は歴史的構造技術ランドマークに登録されている

 橋の上から眺めるビクトリアの滝はまた絶景である。渓谷には美しい虹がかかっている。徒歩でよかった。車だったら橋の上は停駐車禁止なので、こうしてゆっくりと景色を楽しむことができなかっただろう。こんなきれいな景色を楽しみながらの国境越えは初めてだ。

 橋の中央には「あなたは今、ザンビアへ入る(You are now entering Zambia)」の標識が立てられている。足もとの白線を一歩超えると、ここからはもうザンビア共和国である。

 橋を渡り終えると、さらに1.5キロほど徒歩。ようやく、ザンビア側のボーダーポストに到達。

 ジンバブエ側よりもさらにしょぼい入国手続事務所の建物に入り、入国手続の窓口に行くと、太ったおばちゃんの審査官は「ザンビア滞在は何日か」と笑顔がない。「Day trip」と答えると、パスポートにこれも力づくでパーンッとスタンプする。これでめでたく、ザンビアに入国。

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