アフリカン・シャツとジャケット、私のマレーシア流コンサート・ドレスコード

 日曜日、楽しみにしていたジョシュア・ベルのコンサート。先日アフリカ旅行中にザンビアで買ったカラフルな布チテンゲのアフリカン・シャツを着て出かけたが、いざホールを前にしてある問題が発覚――。

 襟付きシャツというドレスコードの問題。私が着ているチテンゲのシャツは、襟なしでもザンビアでは伝統的な正装である。要するに、ハワイのアロハシャツやインドネシアのバティックシャツのような位置付けだが、ただ確かに襟はついていない。

 いくらアフリカン正装といっても、ここはマレーシア。どうしようもない。隣の伊勢丹に出向いてシャツを調達するにも開演時間が迫っているだけに余裕がない。コンサートは断念するしかない。と気を落としたところ、ホール係員の男性から「ジャケットを貸しましょう」と申し出てきた。

 そんなこといいんですかというと、いや、どうぞどうぞ。早速ジャケットを着ようとすると、なんとサイズが合わない。服が小さすぎでなく、私の体格が大きすぎるからだ。また困ったと思いきや、係員は笑いながら、「暑苦しいようでしたら、手に持っていてもいいですよ」との一言。

 えっ?じゃ、ドレスコードの意味がないのでは。戸惑う私に係員がまた笑って補足する。「暑いのでジャケットを脱ぐお客様もおられます。襟付きの下に着るものは我々が問いません」

 なるほど、そういう解釈もあるのだ。マレーシアは本当にそういう意味で柔軟性があるというか、懐が深い。