日本はなぜ旧正月を祝わないのか?

 中国文化をあれだけ取り入れた日本だが、なぜ旧正月を祝わないのか(中華街や沖縄の一部を除いて)?

 明治改暦の原因説がもっとも有力になっているようだ。改暦によって、太陰太陽暦が廃止され、現在の太陽暦が正式な暦とされた。当時は立ち上がって間もない明治政府は財政難を抱えていた。旧暦の賃金体制のままだと月給を13回払わなければならない年がある。この問題の解決をも含めて、労働生産性を引き上げるには、改暦がもっとも手っ取り早い。という合理性から改暦が行われた。

 今日において、このような大改革を行おうとするものなら、それはそれは大変なことになろう。マスメディアが騒ぐし、野党が騒ぐ。国会で大議論の末、国民の生活に重大かつ深刻な影響が及ぶ事項である以上、慎重に議論を重ね、国民の理解を得なければならないとされたところで、いつまでも結論が出ないだろう。

 明治維新以降、特に戦後の日本。いわゆる民主主義が浸透すればするほど、国民一人ひとりの個益を強調するメカニズムが政治家(いや、政治屋)に利用され、結局のところ、党派闘争の場(党益、政治家の個益)と化してしまった。「国益とは何か」という本質的な議論が置き去りにされ、不毛な泥仕合がいつまでも続けられ、国民の血税が無為に消耗されていく。

 旧正月で休めなくなった今の日本人は、明治政府にいささか不満に思っているのだろうか。

タグ: