旧正月の爆竹、魔除け雑感

 旧正月がやってきた。爆竹苦手な私にとってあまり居心地の良い時期ではない。いつもこの時期には、非中華圏へ旅に出るようにしていたが、今年はマレーシアの自宅に残るので、多少の爆竹は我慢せざるを得ない。

 爆竹は危ないし、大気汚染になる。全面禁止にするか、あるいは500%くらいの爆竹税をかけるべきだろう。爆竹を鳴らすことで、「魔除け」になるらしい。しかし、皆が魔を追い出したら、魔はどこへ行くのだろう。旧正月が過ぎた頃、またふらふらと魔は戻ってきたりしないか。

 そもそも、魔とは何か?人の心を惑わす悪魔や災いをもたらす魑魅魍魎、といったところだろうか。仏教では魔の内観的意味として、煩悩など衆生を悩ますものを魔といい、自己の身心から生じる障礙を内魔、外界から加わる障礙を外魔という。要するに正常な暮らしの営みを妨害するのが魔である。

 だから、日本語で「邪魔」というわけだ。ただ、面白いことに、「邪魔」は必ずしも絶対悪になっているわけではない。「お邪魔します」という使い方もあったりすると、日本文化の奥深さを感じずにいられない。

 魔が礼儀正しく「お邪魔します」とやってきたら、どうするか。爆竹よりも、静かにドアノブに「Don’t Disturb」の札を掛けるだけでも十分であろう。