ベトナムの黄金期は長くない、中所得国の罠にはまるワケ

 毎日、ベトナム人(企業)から大量のPRメールが来ている。概ね2種類しかない――。① ベトナム不動産投資の勧誘、② ベトナム人技能実習生を日本に送り出すビジネスの勧誘。

 もう、いい加減に呆れた。ベトナム人には、もう少し多様なビジネス発想はないだろうか。成長市場にチャンスが転がっているはずだが。なんでここまで思考が硬直化するのだろうか。

 ②の技能実習生は、奴隷船産業に近い部分もあって、話すら聞きたくもない。それより、ベトナム人エリート育成教育とか、そういう話だったら喜んで聞きたい。

 ①の不動産は、もう高級物件市場の供給過剰が明らかになっている。正直これから参入(投資)しても大したリターンは期待できない。私はホーチミンで物件を購入したが、外国人向け不動産解禁(法改正)の直前(2015年6月)にプレビルドの売買契約をした。いまはようやくキャピタルのほうに利益が出ているが、インカムは全然期待できない相場になっている。ホーチミンもハノイも、海辺も島も、高級物件ばかり建てている。そこまで実需がないのだから、空虚なGDPデータを膨らませるだけではないか。

 ベトナム人は、中国人大嫌いというが、やっていることは中国人にそっくり。中国の軌跡をたどって、黄金期を無駄にしているように見える。もったいない。

 中所得国の罠。基幹産業をもたない国は、この罠にはまるのが目に見えている。中国も不動産は基幹産業になり得ないことに気付き、必死に産業サプライチェーンの上流を抑えようとITに手を出したところ、トランプに首を絞められたわけだ。

 中所得国から先進国にステップインするために、過去を見てすべての国は独自の基幹産業をもっていた。故に、アジアの先進国は、日本、シンガポール、台湾、香港、韓国、ここで打ち止めだ。マレーシアも現状のままだと、アウト。

 いまのベトナムは確かに旬の味。残念ながら、2025~2030年あたりでGame overになるだろう。

タグ: