記者と学者と経営者、「職際」の連携で価値を高めよ

 今回の日本出張でこの1冊を買ってきた――共同通信社「記者ハンドブック」

 私は記事を書いているが、記者ではない。ロイター通信出身というだけで、多くの方々に「記者」と誤認される場面がよくある。経営コンサルタントという本業の傍ら、記事を書き、また学術研究もやり、3本建ての仕事をやっている以上、ジャーナリスト的な成分は多少含まれている。

 実はこの3つの仕事に緊密な関連性がある。記事書きは「事実を捉える」仕事であり、学術研究は「本質をえぐる」仕事であり、そしてコンサルタントは前二者に基づいて「問題を解決する」仕事である。

 学問の世界には、「学際」(interdisciplinary)という重要な概念がある。研究対象がいくつかの学問領域にまたがっていること、諸科学が総合的に協力することを指している。たとえば、法と経済学。正義を実現するための法を如何にして、生産性の高いものにするかというのも、そのうちの1つの研究分野である。

 職業にも同様な考え方で、「職際」という概念があってしかるべきだ。英語には、「interprofessional」という言葉があり、「専門連携」と和訳されるが、実質的に「職際」と解釈しても良さそうだ。

 学会に出ていると、「学者」と「実務家」に区分されることが多い。思うには、学者は実務を知らなければダメだし、また実務家も学問の研鑽をしなければダメである。ジャーナリストとなれば、事物の本質を見抜く洞察力をもっているかどうかで、書いた記事が全然違ってくる。

 私は職業分類でジャーナリストの本業ではないが、記事を書くにあたってプロの記者に負けないように、専門的なスキルの習得に取り組み、研鑽を積まなければならない。今後も引き続き、精進していきたい。

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