学歴は役に立たない、日本社会をダメにする理由

● 学歴は役に立たない

 私は学歴を重視しない。サバイバル力を重視する。人材とは、組織から離脱しても生きていける「遠心力」を持つ人のこと、学歴と必然的関連性を持たないからだ。

 昔、ある講演会で私の持論「学歴廃止論」を持ち出したところで、厳しい質問をいただいた。「立花さん、あなたは自分、博士学位を取っておきながら、よくも平気で学歴廃止を言って、矛盾ではないか」
 
 私は答える。「もし私が逆に学位を持っていなかったら、今度『立花さんあなた自身が学歴をもたないから、学歴廃止論を吹聴しているだけではないか』と反問されたらどう答えればいいんでしょう?」

 相手は黙り込んだ。私は補足する。「学位を取ってみて、本当は不要だったことが分かったのです」

 博士学位を取ろうとした時、某外国人教授に言われた。「博士号を取ったら、タイトルが「Mr.」から「Dr.」に変わる。お葬式の時、奥さんの名誉くらいにはなる。それ以外には大した役には立たない。奥さん孝行なら取っておいたほうが良い」。まさにその通りだ。

● 高学歴者の「悪」

 逆に高学歴者のエリートで悪知恵を働かせて組織を食い潰す者も決して少数ではない。高学歴者は、学歴に起源する既得権益を死守しようと、往々にして改革への抵抗勢力と化する。
 
 平等とは、機会の均等。学歴に関係なく、機会を全ての当事者に等しく与え、競争してもらうのがルールだ。さらに、少子化社会では、教育期間を短縮し就業期間を延ばすのは実効性ある施策になる。貴重な労働力である若者が大学でダラダラ、チャラチャラする意味がない。

● 反論の仕方と疑問

 私のフェイスブック投稿に反論したいが、実名を出したくない。そうすると、私の公式サイトで適当な記事を見つけて匿名で書き込みをする。時には偽メールアドレスも見受けられる。場を変えずに対象記事に堂々とコメントしてほしい。特に「知的自信」をもつ高学歴者は是非、模範を示してほしい。

 こんな書き込みがあった――。

 「ビルゲイツも、スティーブジョブズも大学は出ていない。しかし、彼が作った会社の大部分の社員は高学歴だろう。大きなことを動かそうとすれば、大きな組織が必要になるし、大きな組織を動かすためには大勢の高学歴の者が必要になる。立花先生は今はほぼお一人で会社を運営なさっていると思いますが、これまでお雇いになった社員は低学歴の方のほうが多いんですか?」

 答えるよりも、「大きなこと ← 大きな組織 ← 大勢の高学歴者」という「高・大」論理の成立する前提とは?将来も成立し続ける担保とは?大きなこと=良いことか?果たして大きな組織が必要か?大きな組織に大勢の高学歴者が必要か?高学歴者による副作用とは?と、いろいろ聞きたくなる。

 因みに私は学歴よりも実績主義のため、社員も顧客企業の人事も学歴を基本的に見ない。

● 学歴と給料の関係

 日本人の給料が安い。誰が得するかというと、低能力・低パフォーマンス者が得している。つまり日本は第一次分配の過程にすでに歪みが生じている。なので、格差以前の問題で競争メカニズムが機能していないわけで、日本社会には、新自由主義は一度たりとも誕生したことすらない。日本社会は、縁故主義に支配されている。

 学歴で給料が決まる。馬鹿馬鹿しすぎる。学歴をもつだけで低能力・低パフォーマンスの人がひたすら得している。

● 日本人の給料が上がらないワケ

 日本人の給料が上がらない。

 だって、日本人は病的に「安値」を追求するから、最終的にツケが自分の給料に回ってくるわけだ。月給30万円で1000円のランチ、月給60万円で2000円のランチ。どっちを取る?後者に決まっている。しかし、給料は上がらない。それどころか、下がるので、800円や600円のランチを求める。

 だから、日本は安い。国丸ごと安い。笑うのは外国人。観光でやってくるので、インバウンドで売上が立ち、また日本人が歓喜する。土地も企業もどんどん外国人に買われる。日本はバーゲン中。

● 二流三流の時代

 一流の大企業に入るために一流の大学に入る。一流の大企業は今後も一流であり続けられるのか?一流の大学や一流の大企業に入る人たちはみんな一流の人間なのか?一流の人間が悪いことをしたらそれも一流ということはないのか?

 肉体労働が二流三流、知的労働が一流。そんな時代の常識が非常識になりつつある。実業である第一次と第二次産業の振興は国家強化のためにも必要だ。人的資源の配置に公権力が手を出さざるを得ない。

 就職・就業の自由を制限するとなれば、問題かもしれないが、税金や年金でインセンティブの格差を出すのは現実的だろう。サービス産業の縮小、高専卒のステータス向上、学歴給の禁止、大学数と教授職の削減、ブルーカラーとホワイトカラーの賃金の逆転…、などの政策が必要だ。

 そんなことはできるわけがない。と、妨害するのはおそらくまた、一流の人たちであろう。

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