<大阪>焼鳥屋「とり平」、「新梅田食道街」のB級探検は楽しい

 ガード下。何も新橋だけではない。ここ、大阪駅前にもある。「新梅田食道街」というが、正確に言うと、線路界隈に広がるかなり広域な飲食店舗集合体である。必ずしも、ガタンゴトンと響く電車の走行音が聞こえるわけではないが、賑やかな酒盛りだけは新橋に決して負けていない。

 何度となく通りかかったことはあるものの、足を踏み入れるのが初めて。正直、驚いた。こんなにたくさんの店舗が入っているとは思っていなかった。少なくとも100店舗くらいはあると思う。B級飲食デパートといっても過言ではない。何よりも楽しいこと。良く見ると、昼飲みしている人も少なくない。

 夜18時過ぎに行くと、焼鳥屋「とり平」はもう満席。とり平は新梅田食道街に焼鳥店と別業態の系列店を数店舗構えており、どこも連日大盛況。待つこと15分、やっと席が空いた。着席して早速注文。だが、「ネオ・ポンポン」とか「ネオ・ドンドン」とか、まるで暗号のような、理解できないメニューがある。

 めんどくさいから、お任せで頼む。いろんな種類の串を混ぜて出してくれる。やや塩気が効きすぎなのを除いて、味は概ね良し。無論、塩気で酒が進むのも客の望むところでもあろうから、文句をいうつもりはない。どの客も湯水のように酒をあおっている。そういうときは平常心を失い、釣られるのがマナーである。

 この店は面白い。焼き鳥というのに、焼き鴨も出してくれる。備長炭で焼かれた合鴨の焼き鳥は、鴨特有の味わいが際立ち、うまい。とはいっても、合鴨の仕入れ値が決して安くないはずだが、こんなに安く売って大丈夫かと思わず他人ながら心配してしまう。他店との差別化という意味では、間違いなく成功しているけれど。

 焼き鳥のお口直しには、大根おろしを出してくれる。これがまたよく合う。3回もお代わりしてしまった。私はとにかく焼き鳥大好き人間で、日本へ帰るたびに、何回かは焼き鳥屋に足を運ぶ。飲むために焼き鳥を食べるのか、焼き鳥を食べるために飲むのか、よく分からない。いや、それを追及する意味がない。

 経営者になってから、会食やら何やらA級グルメに接する機会がずいぶん増えたが、やはりサラリーマン時代のB級嗜好から抜けられない。肩が凝らない食という意味で、リラックスできるし、「場」の雰囲気を存分に楽しむこともできるからだ。サラリーマンにとっての飲みとは、社会学的に広範な意味を持っているだけに、別格の存在である。

 ただ、私には上司がいないので、悪口を言いたくてもできないのが少々さびしい。

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