良い総経理、悪い総経理、普通の総経理

 なんだか子供っぽいが、日々接している顧客や非顧客企業のトップを見て、失礼千万とは知りつつも、自分なりのメジャーで測ってしまうのが私の悪い癖か。

 良い悪いとは、私はコンサルタントだから、経営者としての姿勢を評価しての結果だ。

 高い責任感をもって、遠い将来を見据えている、本当の意味で、経営者といえる方もおられるが、目下の無事、自分の無事にしか目がいかないような、器の小さい人もいる。

 問題意識のない総経理は、最悪な総経理だ。「当社は問題ありません」と言い切る総経理もいるが、その場合は、コンサルタントの出番がないので、私はさっさと引き揚げる。世の中に、「問題のない」企業が存在すれば、私は全財産を投じて、この会社の株を買いたい。

 「うちの会社、問題がないんだよね、ね、君」と上司。
 「うん、えーっ、ないんです。問題は」と息ぴったりの中国人部下。

 このような総経理よりも、その下で働いている人間がかわいそうだと思う。しかし、ここからはコンサルタントが立ち入るべきではない領域なので、ただ溜息だけ……。

 不勉強の総経理も最悪だ。経験知に酔い痴れていたり、「べき」論で一点張りだったり、物事を論理的に議論する場からすぐ逃げてしまう人は、究極のコンサルタント・キラーだ。

 良い総経理、悪い総経理、普通の総経理。私がどう考えようと、その生き方や経営者のあり方は、その人が最善と考えてとったものであろう。

 私は総経理の人生観を変えることができないが、顧客を選ぶことができる。新人社員には私は営業よりも、顧客の選び方を教育している。

 5年後のビジョン、10年後のビジョン、すらすらと中国人社員に現地法人のビジョンを語れる総経理。このような経営者に一人でも多くめぐり会いたい。

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