「何でも産直」宅配業全盛期へ、ロックダウンが業態を変貌させる

 ロックダウン。「隔離」といえば、自由を失い、ストレスがたまるというイメージだが、長期戦に備えてそうした生活の中から、いろいろな楽しいことを探し出したり、作り出したりする必要がある。1つの楽しみは、宅配サービスである。

 週末、キャメロンハイランドの農家がトラックで新鮮な野菜を届けてくれた。産地直送である。何だ、このトウモロコシ。甘~い、柔らかい。いままで食べたことのない美味しさ。眩暈を感じるほどだ。いつもスーパーで買ってきた品とはまったくの別物だ。いや、正直このコロナがなければ、こんな美味しさを体験することもなかっただろう。

 マレーシアはロックダウンが実施されていても、全般的に物流に支障が生じていない。食料品などの生活必需品の配達がむしろ平時よりも盛んになった。肉や魚や野菜はスーパーよりも卸業者直送ないし産地直送が増えたため、徐々にスーパーへも行かなくなりつつある。

 この状態が定着すれば、コロナ終息後、卸売・小売・流通業には大きな変貌が見られそうだ。中間業者がどんどん淘汰され、生産者と消費者のダイレクト・アクセスがより緊密になり、取引コストが削減される。ある意味で、スーパーという業態も今までの存在形態でいられなくなるかもしれない。

 我が家を例にしても、ロックダウンが始まって1か月で、ほぼスーパーに足を運ぶことがなくなった。あちこち直送の宅配を注文し、配達された新鮮な品をいただく喜びが増えた。マレーシアならではのロックダウン、何だか楽しくなってきた。自炊したくなければ、いろいろなレストランから仕出しを取れば、これもまた楽しい。配達はグラブを使ってわずかなコストで済む。

 ロックダウンはさらに延長されるようだ。近日、1日あたりの新規感染者件数がすでに2桁に落ちたにもかかわらず、やはり再拡大のリスクがある以上、油断は許されない。私個人的に、ロックダウンの延長を支持する。

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