9月5日(金)、ブルージュへ行く。正直期待をはるかに超えた素晴らしい街であった。
中世の町並みが見事にそのまま残っている。それを縦横に縫うロマンティックな運河、美しい装飾が施された歴史的建物、緑いっぱいのいかにもヨーロッパ的な庭園・・・。
ヨーロッパの良さは田舎にある。パリは華やかでよろしいが、私にとってやはり南仏の村々にはるかに魅力を感じる。なんというか、もっとも自然体でいられ、母胎的な温もりに心が溶けてしまうような感覚である。
ここ、ベルギーのブルージュも例外ではない。そんな母胎回帰感が見事に蘇ったのである。
ブルージュでのランチ、一食しかないチャンスを無駄にしてはならない。まずは朝ご飯抜き、不健康承知のうえの確信犯だ。美食にありつくための嗅覚は空腹時150%機能できるからだ。
11時過ぎ空腹感が全身を襲い始める。来た!その嗅覚を全開して、ブルージュの街のあちこちをまるで犬のようにクンクンして、探し当てたのはここ、ブルージュの寂れた魚市場の一角にあるフランス料理店「De Visscherie」(ドゥ・フィッシェリー)
期待に完璧に答えてくれた。「Catch of the Day」を2人前注文。私は鮟鱇(あんこう)、妻は鱈。それに生カキの盛り合わせを前菜として追加。そして、特筆に値するのはワイン。
本日は、ル・プランGTV(グラン・テロワール・ヴィオニエ)。日本人にはなじみ薄いかもしれないが、 南ローヌのヴィオニエ種100%辛口白ワイン、かなりの高級AOC規格、葡萄は手摘み100%で傷ものなしという贅沢さ。これはなんとこの店のハウス・ワインに指定されているのである。華やかな香りではあるが、派手さがなく料理を一生懸命引き立ててくれるところに力強さや思いやりを感じさせられる。
料理はすべてよし。デザートは地味なシャーベットを注文したつもりだが、出てきたのは芸術品。文句なし。
Merci Beaucoup!