「強制高級グルメ」と安いワインの美味しい飲み方

 「立花さんは、グルメで、かなり高級志向な方ですね」と、私はよく言われます。

 中国では、確かにその通りです。私は、ローカルの安いレストランにはあまり行きません。だけれど、決して気取った高級志向ではないのです。日本なら、ガード下だろうと、どこにでも食べに行きます。徹頭徹尾の「赤提灯派」です。

 妻も、屋台など庶民的な食べ物が大好きでした。しかし、十数年前、北京の屋台でA型肝炎をもらって以来、我が家の状況が一変しました。食材、食器、調理過程など見えないところの衛生状態を懸念し、「食の安全」を考えて、どうしてもある程度しっかりしたお店しか行かなくなりました。臭豆腐のように、高温加熱で食器不使用の食べ物は除外していますが・・・

 外食と内食、私の場合、交互に取るようにしています。何よりも、出汁を最重視しています。出汁で料理を食すときの「幸せ度」が変わってきますから、とてもうるさいのです。内食の場合、ごまかせないことを知っていて、妻は手抜きせずに大変苦労しています。人は死ぬまで、一食食べれば、一食分減るわけですから、存分に美味しく食べないと・・・

 内食ですと、我が家は、和食、洋食と中華の交互です。最近、美味しい牛肉の業者が見付かって、ステーキがよく食卓に登るようになりました。

 ステーキといえば、赤ワインです。ただ、良い赤ワインがとても高いのです。安くて美味しい赤を探していたら、「新世界」のワインにたどり着きます。カリフォルニア産や豪州産、そして、チリー、南アなどです。私は、オーストラリア産の赤をよく飲みます。なかでも、「シラーズ」(Shiraz)が最愛。香港に行けば、美味しくて安価なシラーズがたくさん売られていますが、上海ではチョイスが少ない。

 赤の場合、ワインの年齢や品種とも相談しますが、デキャンタをよく使います。ワインを、ボトルから一旦デキャンタというガラス製の容器に移し替えてから飲むことです。空気に触れながら、デキャンタにゆっくり入れると、ワインの酸化が進み、味や香りが微妙に変化します。要は、デキャンタは、強制的にワインを空気に触れさせ熟成を促進するための手段なのです。デキャンタに移し替える操作を「デキャンタージュ」といいます。私は、いつも、「美味しいワインになるように」と神様に祈りを捧げながら、「デキャンタージュ」儀式を行うのです。

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 すべての赤ではないのですが、安い赤でもデキャンタで様変わりして、とても美味しくなることもしばしばあります。

 ワインは、私の中国生活の楽しみの一つです。