休日は、上海ヒルトンホテルのプールで泳ぐ。
「忙しい、忙しい」というのが、ときどき、人間の一種の口実に過ぎないことに気付きました。
私自身も、自分が忙しいと言う口実で、本の執筆が遅れているとか、スポーツジムに通っていないとか、色々な不作為を正当化してしまっています。
「忙しい、忙しい」というのが、また、他人に対して一種の褒め言葉にもなっています。
そこで、妙なことに気付きませんか?
自分が「忙しい」、「忙しい」と口々に言っているのに、「お忙しいところ、・・・」と他人から言われると、「いいえ、・・・」と否定してしまう。それこそ日本の文化と言われればそこまでですが、論理的に筋が通りません。
私が、以前、西洋人と日本人の通訳をするとき、一番戸惑うのがこの類の通訳でした。
「このたびは、大変お忙しいところ、・・・」と言う日本語を、直訳で「Busy time」を使うかどうか迷った末、「Precious time」(貴重なお時間をいただき・・・)にしました。
英語圏では、相手が忙しいと知りながらなぜ邪魔するのかと、確信犯扱いされてしまう恐れがあったからです。「忙しい時間」ではなく、「貴重な時間を割いてくれた」ことに対する感謝なら問題なく相手も心地よく受け止めてくれます。
先日のセミナーで、私は、つい日本語で、「本日、皆様ご多忙なところ、お集まりいただき・・・」と口を滑らせてしまうと、後悔しました。
「多忙」と「貴重」の違いは非常に大きい。
「多忙」とは、「効率が悪い」というマイナス的な要素が折り込まれてもおかしくありません。ですので、西洋人は、よほどのことが無い限り、あまり人に「I am busy」と言いません。それをいうと、「私が忙しいから、邪魔するな」という意味が濃厚な場面が多い。
しかし、「貴重」というと、中身のバリュー(価値)を認めることになります。
土日などは、仕事こそ忙しくないが、リラックスの時間や家族と団欒する時間だって、「貴重」ですから、合理的な表現だと思います。
人生は短い。「忙しい」仕事に追われるばかりでなく、「忙しい」遊びに耽ったり、「忙しい」家族サービスを奉仕したり、もっともっと「貴重」な時間をたくさん作りましょう。
土曜日の今日ですが、みなさん、忙しいですか?貴重な週末を過ごしていますか?