金持ちと貧乏人、善人と悪人、そして成功と失敗

 成功のための○ヶ条類の本がそこらへんに転がっている。人間は成功より失敗に学んだほうがよほど成功しやすいのに、それがなかなか難しいようだ。

 お金持ちになる方法よりも、貧乏人にならない方法を学ぶ。会社の人事では、善人を選ぶよりも、まず悪人を排除する仕組みを作る。

 何を避けるべきかを学ぶのが人生であり、宗教もつねに禁止事項を説いている。反証は何よりも効率がいい。仮説や命題を否定する結果が出れば、「その仮説は正しくない」と確認でき、一歩進む。逆に、仮説を否定しない結果をいくら集めても、「仮説が正しい」とは言えない。1つでも反証が成立すると、仮説は丸ごと水に流れるから。

 私はビジネススクールのとき、教授は「戦略とは、何をやるかよりも、まず何をやらないかを決めることだ」と教えてくれた。

 つまりは引き算的な方法で否定から入るのだ。哲学者のカール・ポパーが主張する「反証理論」を学ぼう。

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