バスも乱暴運転、どこが安全ですか?

 タクシーの韓国人乗客死亡事件の記事に、読者から「タクシーだけでなく、バスも乱暴運転をやっている」というコメントをいただきました。その通りです。

 バスの乱暴運転に対する市民の苦情も絶えたことがありません。数年前に、上海では一部の路線バスに走行情報メーター(俗称「バラックボックス」)を装着し、急ブレーキ回数、規定速度超過、走行中の扉開閉回数などを集計し、乱暴運転を減らそうとしました。(2005年10月6日、上海「東方早報」)しかし、根本的な改善は見られません。

 人事コンサルティング現場で、「行動を管理するのが素人で、思想を制御するのがプロだ」とよくいいます。「思想の制御」といっても、宗教的なものではなく、いわゆる「動機付け」です。

 バスやタクシーの乱暴運転という行動だけ規制しようといろいろ手を打っても、なかなか改善しません。どんな規制でも、現場で必ずそれに対抗する手段が考案されます。その新たな行為に対し、今度新たな規制が課されるわけで、いたちごっこです。まるでコンピューターの新種ウイルスのようで、どんどん出てきます。

 バスやタクシーの運転手は、なぜ乱暴運転をするのだろうか、彼らの動機付けを調整しないと、問題は根本的に解決されません。

 動機付けのベースは、「利害損得」と「倫理道徳」です。たとえば、タクシーの運転手は、客を一人少なく取って、損をしてでも、安全運転するという心(モラル)を持てるか。タクシーの運転手の中にも、星がたくさんついている素晴らしいベテランもいますが、ほんの一握りです。

 読者が指摘したとおり、運転手の再教育は絶対不可欠です。ただ、それは「倫理道徳」レベルに留まるだけで有効なのでしょうか?「利害損得」の調整も必要ではないでしょうか?悲しいですが、経済成長の代価を中国社会が今払っているのです。