本日セミナーの会場風景
金曜日と月曜日、２回の半日コースセミナーが終わりました。とても、疲れました。１回につき４時間近くしゃべり続けるので、結構きつい肉体労働です。
２日合計９０名の参加者に面してお話をし、また様々な質問もいただきました。今日のセッションで、とても面白い質問をいただきましたので、ご紹介します。私が、人事制度を確立して、中国人現地従業員の中堅管理職の育成に力を入れようという話をしますと、会場からこういう質問が来ました。
「せっかく、良い人材を育てても、欧米企業とかに高い給料で引き抜かれるかもしれません。では、教育投資がすべて無駄になりますが・・・」
うん～、私は、一瞬、一つの喩えを思いつきましたが、ちょっと表現が適切かどうかで迷って、会場で別の形で答えました。ここで改めて書いてみます。
妻になる女性に、礼儀作法を教えたり、教育に大きな投資をしたりし、とうとう素晴らしい女性ができました。すると、あまりにも輝く女性が色々な男性の目を引く。ひっきりなしに男性からの誘いや誘惑が来ます。ある日、あるお金持ちの男性が女性の横取り作戦に成功し、せっかく苦労して育てあげた女性が妻になることなく、その男性の元に行ってしまった。さて、あなたは、それでも教育に投資しますか？
この質問に答える前に、まず、なぜこの結果になったかを考えましょう。せっかく苦労して育てあげた女性が他の金持ちの男性の元に行ってしまった原因は何だったのでしょうか。
その女性は、あなたの真心よりもお金が好きで、浮気したということでれば、あなたにまったく責任ありませんか？あなたは人を見る目がなかったのではないか、そして、厳しい問いですが、そもそもあなた自身に、その女性を引き止めるだけの魅力を持っていなかったのではないかと・・・色々と自問することがたくさんあるはずです。
セミナー後の一服が旨い、ヒルトンホテルのシガーバーにて
人事も同じです。良い従業員が育つと他所から引き抜かれ、会社を辞めていく、これを恐れて人を育てないのでは、決して良い会社になりません。まず、募集採用段階で人を見る目を持ち、そして入社後の数ヶ月や数年の間、人物像を見極める。さらに、育て上げた人材が流出しないように、会社自身も一生懸命魅力をつけなければなりません。
会社と従業員は、双方向の選択です。男女の恋愛関係と同じです。常に、相手を見る目を持ち、そして絶えずに自分の魅力を磨かなければなりません。大変でしょうが、会社はこういうものです。経営者も管理職も大変なのです。
人事管理は、社員の行為への管理よりも、社員の心の育成がはるかに重要です。