私はこうして会社を辞めました(51)―給料が半分になる

<前回>
(敬称略)

 香港駐在時代、私の給料は年俸98万香港ドル、営業コミッションを加算すると、円換算で年収1700万円を超える(香港の高い家賃はそこから控除されるが)。30代前半のサラリーマンにしては悪くない収入だった。

24024

 東京帰任の話が出たとき、仕事面はもちろん、収入面の心配もかなりあった。東京帰任後の待遇について、会社から次のような説明を受けた。

 「月給45万円プラス定期ボーナス、その上、営業コミッション平均月20万円ほど上乗せすると、年収900万円程度になる」

 1700万円から900万円に、年収がほぼ半減する。東京と香港の生活水準差を加味すると、実質的に年収6割以上の引き下げとなる。サラリーマン家庭にとって、これはただ事ではない。私は海外の仕事が好きだったし、何とか東京帰任を避けたいと、打診したところ、東京帰任を拒否するのなら、声明書に署名する必要があるとの回答が戻ってきた。声明書の内容は、概ね次の通りだ。

 1.東京帰任は、私自分の意思で拒否した。
 2.東京帰任の拒否によって、ロイター・ジャパンの雇用関係が解除される。
 3.上記雇用関係の解除に伴い、駐在員資格待遇が即時に打ち切られる。
 4.雇用関係は、ロイター香港の現地採用に切り替える(現地での解雇もあり得る)。

 駐在員資格待遇が解除され、香港に残った場合の年収は、現状のほぼ半分に引き下げられる。要は、東京に戻っても、香港に残っても、給料半減という結果は変わらない。しかも、香港に残ったらクビをいつ切られるか分からないが、東京に戻ればせいぜい雇用は保証する、という結論だった。

 私には、選択肢などまったくない。

 何年もかけて、汗水たらして中国で日系企業市場を打開した功績を考えるだけでも、そこまで酷い処遇はないだろう。

 外資企業は、基本的に「ポストがあっての人」で、ポストに求められる役目を果たせば用なし。一見給料が日本企業より高いが、その高い給料はあくまでも「人」ではなく、「ポスト」に払っているのだ。しかも、短期一括集中投資手法であるため、総じて長期ないしサラリーマンの生涯ベースから考えれば、日本企業と総額に大差はないと思った。

 それを考えると、いやでもとりあえず自分を納得させることができた。だが、東京に帰ってみると、年収900万円でも夢のまた夢だったことが分かった。

<次回>

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です。