明日からは北京出張。スタミナをつけようと、出向いたのは、小粋なフランス料理店「Le Bouchon」(ル・ブション)、料理店と言っても大げさで、ビストロ風。
江蘇路から北に向かって、武定西路に右折するとすぐに右手にあるが、目立たない。夜になると、うっすらと店のロゴ・ネオンが輝いているだけで、まったく派手さがない。グルメガイドなどは、よく「隠れ家」と表現するが、そんな感じかな・・・
「ボンソワ、早く来たね」、体格の良いフランス人おじさんオーナーが笑顔満面で迎えてくれた。私が7時半に予約しておいたが、思ったよりも、道路事情がよく、25分も早くついた。
エスカルゴのガーリックバター12個入り(90元)
最高に美味しいレバーペーストとカリカリパン
まず、ワインを注文。フランスワインなら、私は、コート・デュ・ローヌ(Côtes du Rhône)が定番なので、シャトー・ジゴニャン( http://www.chateau-gigognan.fr/)2005年の赤(340元)にすぐ決まった。味わい深く、且つさらっとしたこの銘柄は、今日、妻とそれぞれ肉と魚の予定だったので、どちらにもぴったりだ。満足。テイスティングもOK。
前菜の一品は、エスカルゴ。シンプルでクラシックなガーリックバター焼き。何と肥えたエスカルゴだろう。専用のエスカルゴはさみではさみ上げ、デザートフォークのような小さなフォークで身を食べる。口中に送り込むと、コリコリプリプリ感、ニンニクとバターの香りが三次元のハーモニーを織り成す。何とも言えずにおいしい。
魚料理のスズキは、思ったよりも大きく、ムニエル仕立てで目の前でフランペしてくれる。当日のお薦め料理であるだけに、納得の行く味だった。何よりも材料が良い。身が引き締まっていて、赤ワインのジゴニャンにベストマッチだった。一安心。
スズキのムニエル仕立てフランペ(200元)
ダックコンフィ(160元)
そして、私の目の前に出してくれたダックコンフィに、びっくり。ラージポーションというよりも、ほぼ半身に近いほどの大きさだ。今日、スープを注文しなかったのが正解。
コンフィとは、簡単に言うとフランス料理の「肉の脂漬け」。ギトギトしたイメージだが、肉の保存を目的とした伝統的調理方法だ。ダックといえば、油がなければ話にならない。北京ダックというのも、油をうまく生かした名物料理なのだ。油の割りには、肉が野生的にギュっと引き締まっていて、そのコンビはなんともいえずに美味い。
さっそく、いただきます。肉のジューシーさと柔らかさがしっかり保たれているのに、皮がパリッと焼きあがっている。バランスが素晴らしい。ダックコンフィを注文して、あることを言い忘れた。ドロドロのデミグラスソースで風味が壊されるのが嫌で、ソースの別皿サーブにしてほしかった。でも、出てきたソースは、薄口。何の嫌味もない。骨にそってナイフを入れると、皮がパリッと音を立て、ほどよい柔らかい肉が滑らかに骨から分離された。皮のクリスピーな食感と肉のジューシーな味わいが口中で絡み合い、美食万歳の一幕を演じる。ブラボー!
私は、実は、フランス料理好きではない。フランス料理といえばソースだが、私はソースがあまり得意ではない。ヨーロッパでは、むしろ南イタリアやスペイン、ギリシャといった地中海沿岸の料理が合う。バターよりも、オリーブオイル派なのだ。しかし、ここのフランス料理は、ヘビーなソースが一切なく、さらっとした仕上げで、私にぴったりだ。
「サバ?」、オーナーがニコニコとテーブルに戻ってきたとき、私はすっかり満足、満腹の状態。
「メルシー」、感謝を込めてオーナーに挨拶してから、店を後にした。
★フランス料理・LE BOUCHON (ル・ブション)
<住所> 武定西路1455号(江蘇路交差点東約50メートル)
<電話> 021-6225-7088
<営業> 18:30~22:30
<予算> 300元~500元/人