それでも日本で働きたいのか?外国人の皆さん

 観光だけでなく、日本で働き定住したいという日本ファンの台湾人が多い。某台湾人が日本の取引先にいずれ日本で働きたいと打ち明けたところで、なんと相手の日本人に思い切って水を掛けられた――。

 「日本はもう終わりだ。来ない方いい。日本はあなたが想像していたほど良い国ではない」と。この投稿がSNSで話題を呼び、台湾のメディアにも取り上げられた。

 日本に好意を示す親日的な外国人に水を掛けることは、一般の日本人はしない。よほどのことがあってか、あるいは本気で相手のことを考えて本音を吐いたか定かではないが、そう助言したのだろう。期待や希望をもった人が失望し、絶望していくのを座視するほど非情なことはない。その日本人に拍手を送りたい。

 日本に対するイメージがアップデートしていない、あるいは真相を知らない外国人が多い。国力衰退はまだしも、外国人が日本で働くには、まず「差別」といってはいけない、「区別」を受けることを覚悟しなければならない。「あなた、日本語上手ね」というのは褒め言葉と受け取っていいのだろうか。それぞれの解釈に委ねよう。

 外人、「ガイジン」という言葉の意味の中には、日本人が白人を尊ぶ成分も込められているが、アジア系だと中途半端になりがちだ。最近はより中性的な「外国人」や「外国の方」が使われているが、そのニュアンスをしっかり読み取れたら、限りなく日本人に近いといっていいだろう。

 日本で働く外国人はまずネイティブ級の日本語をマスターしないと、まともな仕事すらありつけない。日本語は難しいというが、もっと難しいものがある。それは「空気」を読むことだ。日本語は主語を飛ばすことが多い。さらに文末にならないと肯定否定すら分からない。いや文末になっても分からないことがある。

 だから、空気を読みながら、文脈を動態的に作っていく能力(神業)が求められる。言語が技術だとすれば、空気が芸術にあたり、言語と空気の結合は魔術になる。

 外国人にとって、技術、芸術そして魔術までほぼ完璧にマスターするには、どのくらいのコストがかかるか。そしてその巨大なコスト投下(青春を捧げるとか)、投資は回収できるのか、計算してみたらいい。本来ならば、日本人よりもはるかに高額な報酬、プレミアムをどーんと上積みした報酬を払うべきだろうが、実際はそうなっていない。

 その上、(大方の)日本人はつねに外国人に「教えてやる」という姿勢をみせている。日本文化を海外に発信すると豪語し、「クールジャパン」などと自画自賛する。おいおい、「発信」よりもまず「受信」側を考えないのか。波長の合わない発信はいつまでも受信されずに、日本商品の海外販売に失敗し続けるのだ。

 「ABC」(American Born Chinese=米国生まれの華人)は、高給取りで権限を与えられて中国やアジア事業の責任者を任されるが、惨めなのは「NEC」(Nippon Educated Chinese=日本の大学を出た華人)。安月給で権限もなく、場合によっては自分より馬鹿な日本人上司に頭を下げなければならない。たまったものではない。

 外国人の皆さん、特にエリートの皆さんよ、それでも、日本で働きたいのか。

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