<北京>割烹・すず喜、隠れ家の経済学

 いま、北京出張中。

 今日は打ち合わせが終わって、お客様に案内されたのは、この店。なかなか、たどり着かない。とにかく、分かりにくいところにある。朝陽北路からちょっと奥に入った路地を入って、さらに団地の敷地内にという分かりにくさ。

 2時間探してようやくたどり着いたお客様もと、冗談半分でご主人が言うが、私のようなよそ者なら、それくらいかかってしまうかも・・・

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 「隠れ家」=「美味しい店」、この図式は知らずに暗黙知になっているようだ。では、隠れ家でまずい店ってあるのかというと、うん、聞いたことがない。これだけ分かりにくい店で、食べて何だこれはと、殺人事件になってもおかしくない。人殺しまでいかなくても、皿を投げつけたくなる。

 よく、考えると、納得する。分かりにくいところに店を構えると、当然商業地、一等地の繁華街に比べると、家賃が格段と安い。料理店では、家賃がとても大きな固定費で、下手にすると、家賃で利益が食われてしまう。

 思い切って、家賃をカットすれば、余裕が出る。すると、食材にこだわったりすることができる。美味しい料理が出来るわけだ。

 外食という消費行動は、基本的に2種類に分けられる。外出先でついでに食事をするタイプ、とわざわざ特定の店に出向いて食べるタイプ。「隠れ家」は明らかに後者、しかも、強烈なメッセージを発している。

 日本なら、日常生活の交通手段は基本的に電車なので、商業施設も駅を中心に配置されている。しかし、中国では、タクシーが安く、どこにでもいけるので、「駅」という意識がない。すると、「隠れ屋」タイプの店舗が大活躍する。

 あと、私があまり、広告をデカデカとやっている店にはほとんど行かない。理由は簡単だ。広告料に大きな予算を投入する代わりに、食材や料理の方を切り詰めるしかない。だから、広告をデカデカとやっている店で、美味しい店が少ないのである。

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 「すず喜」は、まさに隠れ家タイプの店で、話を聞いたら、北京の日本人駐在員の間で密かに噂になっているとか。味はなかなか素晴らしい。刺身の赤身は絶品だ。特別な料理はないが、クラシックな日本料理で、身も心も癒される。

 職業柄、コンサルタントとして、私は結構お客様と飲み食いする方だ。食事の間、お酒も入れば、打ち解けてくる。すると、いろいろな問題解決の糸口が見付かることも結構多いのだ。しかし、最近、私のブログを見て、立花さんがグルメだからと、店探しに気を遣ってくださるお客様がとても増えてきている。本当に、申し訳ないと思っている。お客様と会食するのは、コミュニケーションが一番だと思っているし、そこまでグルメなど考えていないし・・・

 とは偉そうに言っても、美味しいものは美味しい。素直に喜びます。

 すみません、いつもいつも、ご馳走様でした。

★割烹・すず喜
<住所>   北京市朝陽区朝陽北路関東店北街核桃園30号(瑞昌国際商務楼内)
<電話>   010-5138-9826
<移動>   135-2101-2615、158-0157-0455
<営業>   11:30~14:00 17:30~22:30
<予算>   300元~