蚕食鯨呑「サステナビリティ戦争」の成功事例、プーチン牛歩が奏功

 蚕食鯨呑

 ――ロシアのウクライナ戦略プランBは、確実に奏効している。虫の蚕が桑の葉をじわじわと食い潰していき(ドンバスではまさにその様相)、最後に鯨が魚を丸呑みにするという戦略。

 西側や日本の報道では、ロシア軍のドンバス地域での進軍が遅く、苦戦していると報じてきた。遅いとは、単に表面的な現象にすぎない。ロシア軍は爆撃を先導に敵方を抑え込んでから兵士を投入する戦法を使い、自軍の死傷、つまり戦争コストを最小限にとどめている。

 この戦法の繰り返しによって、各個撃破で一つひとつの地域を確実に攻め落としていく。確かに時間はかかるが、犠牲は少なく、昨今西側の流行語で表現すれば、「サステナビリティ戦争」と言っても過言ではない。戦争のサステナビリティ(持続可能性)向上を図る戦法なのだ。

 戦争コストの劇的な削減だけでなく、ロシアは経済的利益をも多く手中にした。エネルギー輸出の制裁を受けたところで供給が減った分エネルギー価格が急騰し、ロシアにとってエネルギー輸出の収益性が従来よりも上がった。さらにルーブル決済により、ルーブル高が進み、ルーブルはエネルギー取引指定通貨になったのだ。

 ドンバス戦場では、毎日200~300人のウクライナ兵士を殲滅しているので、1か月あたりでウクライナは5000~1万人の兵力を喪失する。劣勢のウクライナ軍は士気低下し、投降兵士の増加で悪循環に陥る。最終的に総崩れになれば、オデッサやキエフの陥落も時間の問題。

 そうしたなかで、米欧は長期的軍事支援を継続できるのか。11月の中間選挙を控える米国のインフレは激化している。あと3か月で欧州大陸は厳しい冬を迎え、ロシアのエネルギーをなくして越冬はできるのか。民衆の怒りはいずれ爆発する。民主主義国家の脆弱性が一気に露呈する。

 ロシアはこれから1年くらいはこのペースで戦争継続可能だろうが、欧米はあとせいぜい3か月か半年で息切れする。我慢比べで優位に立つのは、明らかにロシアだ。勝負はほぼついている。

 米国は長期戦や消耗戦でロシアを潰そうとしたが、ロシアはそれを逆手に取って、「以其人之道、還治其人之身」(その人のやり方でその人に仕返しする=宋・朱熹『中庸集注』)というアプローチを活用したのだ。

 ウクライナ戦争は勝敗を論ずる時期が終わった。ロシアの勝ち方を見極めるステージに移った。最終的に、ウクライナがロシアの同盟国になることがバイデンにとっての悪夢だ。そこで出来上がるのは、ワルシャワ条約機構ならぬキエフ条約機構。そしてキエフ条約機構の本部は、モスクワや北京にある。

 補記、6月12日付けの情報だが、米国はすでにロシアの要求通りにロシアの宇宙船の利用代金をルーブルで支払った。

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