流氷紀行(9)~万人向けの流氷か一見さんお断りのお茶屋さん

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 2月14日、旧正月の元日。爆竹音を耳にすることなく静かに過せそうだ。

 朝8時、宿を出発。知床を後にして一路快走、10時過ぎに、網走港に到着。ここで、流氷観光砕氷船おーろら号に乗船する。

33698_2おーろら乗船

 メイン駐車場はすでに満車。大型バスでやってきた観光客の半分は台湾人。懐かしい北京語が聞こえる。いま、北海道の観光業は台湾市場をなくして成り立たないというほど、北海道ファンの台湾人が多いらしい。今後、中国本土の観光客も大勢やってくるだろう。

 2005年、私が札幌で開催された「中国市場に売り込む北海道」セミナーで以下の主旨の講演を行った。また、同年、上海訪問中の高橋はるみ北海道知事にも、私が同じ意見を述べた。

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33698b_3網走沖の流氷(オホーツク海)

 「京都よりも、北海道の方が中国人観光客に向いている。京都を理解するには、多くの勉強が必要だが、北海道は視覚、味覚、嗅覚で堪能することができる。京都の美は奥深いが、北海道の美なら誰から見ても一目瞭然で単純明快だ。文化の比較になると、多くの問題が日中間にあるだろうが、自然を楽しむなら、もっともスムーズに行くだろう。難しいことはやめよう。北海道を素直に楽しもうということで大いに中国人観光客を誘致すべきだ」

 公の場で、よく、京都を引き出して北海道と対比していると、ある日、友人でもある京都の某役人に嫌味というか、半分皮肉を言われた。「立花さん、北海道と京都、あないにきつう言わんでもええやろ。ほな、京都はどないしたらええんや」

 「京都ですか、祇園ですよ、祇園。一見さんお断りのお茶屋さんを2~3軒中国の富豪たちに開放したらどうですか。舞妓さんや芸妓さんに中国語の通訳をつけて、あっ、そうだ。お稽古は歌舞音曲、習字、お茶、お華に、中国語の勉強も入れたらいい。あとは、宴会だな。冷たい懐石はダメで、あったかい中華料理・・・」、と私は本気で提案した。

33698_4流氷の上を飛ぶカモメ

 ということで、北海道は、中国市場にぴったりの要素、ポテンシャルをたくさん秘めているのである。この流氷も最高の素材だ。特に広東省など、雪を見たこともない中国人は、歓声を上げるに違いない。

 砕氷船おーろら号が1時間ほど沖を航行して、網走港に戻ると、時間も正午になっていた。網走市内で軽くラーメンを食べて、早速、早めのチェックインを狙って最後の宿泊地、サロマ湖へ向かった。

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