流氷紀行(12)~<番外編>旅の小道具と「猫の目撮影」

<前回>

 旅の思い出の一つは、写真。私はプロでも何でもない。アマチュアの写真愛好家である。カメラは2台もっている。

 まず、旅行は基本的に、一眼レフのニコン「Nikon D60」を持参する。2年前に日本国内で購入したものだが、それまではずっとフィルムを使っていた。

33765_2私の旅のパートナー、「Nikon D60」

 このD60は、一応プロの入門機として位置付けられているが、何といっても一眼レフとしてボディが世界最小クラスで、軽量である。D60より優秀なカメラはたくさんあるが、このクラスのカメラになると、どうしても体がデカイし、ものによって鉄の塊のように重い(レンズも重い)。私はやはり断然携帯性を重視する。

 ブレ防止機能もかなり優秀。高感度設定もできるし、設定しなくてもブレ防止がよく効くので、夜や室内など暗いところでのノイズ抑制効果はかなり満足できる。これは、私がもっている同じニコンのコンパクトカメラに比べると一目瞭然だ。やはり高性能機種は違う。

 あとは、電池の長持ちも評価できる。満杯充電しておけば、300枚以上は撮れる。旅行途中、デジタルカメラの電池切れは最悪だ。それでも、心配性の私はいつもコンパクトのスペアを持っている。

 良い写真を撮るためには、カメラやレンズ以外に、レンズ・フィルターも必要だ。最近一部デジタルカメラには、フィルター機能もついているようだが、やはり本物のフィルターが良い。

 まず、必要なのは偏光フィルター(PLフィルター)。これを使うと、コントラストが断然違ってくる。空の余分な偏光をカットし、青はより深い青にしてくれるし、白はより白くしてくれる。

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33765b_3サロマ湖の夕日、同じ景色でもフィルターで異なる表情に

 ほかには、たとえば、フォギー(Foggy)フィルター。霧が掛かったような効果を出すフィルター。人物や風景によりソフト感を出すには効果抜群だ。サンプル写真は、私がモデルになっているが、女性の人物写真には最適だ。寒い時であれば、レンズに軽く息を吹きかけて曇らせることで代用できる。

 あとは、セピア色とかクロスとか、色や光の効果を出すものも遊び心たっぷりだ。

33765_4フォギーフィルターを使った人物写真、ソフトトーンに

 旅途中のスペアとして、そして、日常的に私が鞄の中に入れて持ち歩いているのがコンパクト機種の「Nikon Coolpix S610」。ちょっと古い話になるが、80年代にコンパクトカメラのことは、「ばかちょん」と呼ばれていた(朝鮮人への差別用語ということで、後ほど自粛になったようだ)。だが、決してバカのつまりでコンパクトカメラを使ってはならない。工夫次第コンパクトでもかなり良い写真が撮れる。構図の配置も重要だが、カメラの高度を変えれば風景ががらりと変わるのだ。

 人間は大抵直立して写真を撮っている。すると、誰から見ても日常の目線で見える光景が写っている。そこで、すこし中腰になってしゃがんだり、床に寝転がったりして撮ると、写真はまったく違う表情を見せてくれる。子供の目線や犬猫の目線になってみると、違う世界が見えてくるものだ。これは、コンサルタントの基本でもある。

 そう、「吾輩は猫である」ポーズの「猫の目撮影」である。

 一つの旅が終わると、次の旅を考える。次は、お盆休み。8月には、初のアフリカ大陸に足を踏み入れたい。タンザニア、ケニアである。

<終わり>