クレームに無料サービスで問題解決になるか、北京某高級ホテル

 私が泊まっている北京某高級ホテルのマネジメントに、以下のクレームレターを提出した。

 3月2日、ビジネスセンター会議室の問題で苦情を言わせていただきましたが、苦情はまだまだ後を絶ちません。

 本日、夜0時ごろ、明朝のルームサービス朝食をお願いしようと、部屋中探しても、朝食注文カードが見当たりません。仕方がなく、服務中心に電話します。電話口に出たスタッフは、「私は、注文を受けられません。カフェに取り次ぎます」といって電話がカフェに回されました。しかし、鳴っても鳴っても誰も出ないため、再度服務中心に戻されます。先のスタッフは、「カフェに誰もいません。部屋に注文カードは置いてあるはずですから、もう一度よく見てください」と。私は、「何度も言ってますが、探してもありません。私を信用しないのなら、自分で部屋に見に来てください」というと、スタッフは、「私は、ただ提醒你(ティーシンニー)しただけですよ」と説教っぽくなり、「ないのでしたら、カードをもって行きましょうか」・・・

 アシスタントマネージャーを呼び出すと、数分後、朝食カードが部屋に届けられました。さらに、数分後、また電話が入り、「大変失礼しました。朝食は無料にします」

 先日、ビジネスセンターの一件でも、クレーム対応でコーヒーを無料にしてくれました。このように、クレームがあるたびに無料サービスでは貴ホテルの内在的問題は根本的に解決されません。私と同じようにクレームしているお客様、あるいはクレームがあっても言わないお客様は、決して無料サービスを望んでいるとは思いません。きちんと代金を払って、受けるべきサービスを受けたいと希望しているだけです。

 クレームがあると、毎回毎回、日本人マネージャーがお詫びにこられることを見ると、私がふと思いました。日本人マネージャーが、苦情処理専門職になっている状況は、決して正常ではないでしょう。高級ホテルのサービスは、「他律」によってではなく、高度な「自律」とモチベーションをなくして成り立ちません。根本的問題所在はどこにあるのだろうか。中国人スタッフがなぜ、官僚的な対応をしているのか、彼たち・彼女たちは、どういう「心」でこのホテルで働いているのか、「心」の問題を解決してこそ、クレーム解消につながるのではないでしょうか。

 私は、人事労務コンサルタントです。多くの中国現場を経験しております。大変僭越ながら、貴ホテルの従業員の「心」の問題が最大な問題ではないかと感じています。サービススタッフの目を見ると、生き生きとした、「やりがい」と「生きがい」を感じません。生計を立てるため、給料をもらい、働くだけでは、一流のホテルマンになることはいつまでもありません。

 従業員に、いかに「働く喜び」を覚えてもらうか、貴ホテルにとって、大きな課題になるでしょう。

 大変老婆心で、ずけずけ言って、失礼しました。