魚食いの旅センポルナ(2)~魚大食いと酒大飲みの漁港一夜

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 センポルナは漁港。港沿いは「魚横丁」になっていて、海鮮レストランが軒を連ねている。ほぼすべての店が華人経営の中華料理だ。1日目の夕食はとりあえず現地で有名な「肥媽海鮮楼(Fat Mom’s Restaurant)」にした。

 名物の看板娘ならぬ看板デブママ(肥媽)はいない。ビジネスが大きくなり、本人も年を取り、毎日店頭に立つことは少なくなったようだ。と言ってもユニークな店名は客に強いインパクトを与える。デブママって、愛嬌がありすぎ。

 注文は難関。スタッフはほぼ全員英語も中国語もできない。商品知識も乏しい。「ローバン(老板=社長)」と大声で呼ぶと、二代目ママと思われる華人女性がニコニコして飛んでくる。当日入荷の新鮮なものを選んで調理してもらうには、案内役が欠かせない。

 まず水槽を眺めながら品の説明を聞き、価格(時価)を確認する。漁港で相場が決まっているので、値引き交渉はしない。魚、蝦、貝類などの具材を決めたら、重量を計る。そこで調理法を指定すれば、あとはテーブルに運ばれるのを待つだけ。

 調理法は豊富――清蒸(スチーム)、バター焼き、椒塩(塩胡椒揚げ)、刺身、サンバル、アッサム、辣子(四川風辛揚げ)、甘チリ、生姜ネギ炒め、カレー風味、トムヤム、黒胡椒などから選ぶ。自分の好みもあるが、素材の内容や他の料理との組み合わせを考える必要がある。

 余談になるが、この注文の仕方はほぼマレーシア全土の中華料理店(一部高級店除く)に通用する。素材と調理法の組み合わせが無数にあって、決して飽きることはない。余談の余談だが、バター焼きという調理法はパンやワインにも最高に合う。

 お酒は、ビール以外にほぼ持ち込み自由。マレーシアの場合、高級店やハラール店を除いて、その店のドリンクメニューにない酒類は基本的に持ち込み自由。中華料理店の場合、白酒や紹興酒あたりはほぼ問題なく持ち込める。海鮮料理にはやはり白酒が一番。あと「Japanese Sake」といえば、日本酒も焼酎も大体認めてくれる。日本では考えられないスタイルだ。

 肝心な料理の味は?酒の量をみれば料理の旨さがわかる。白酒を妻と2人で1本の3分の2を飲んだ。明日は海中の宿に移動するだけ。午後2時の船なので、二日酔いでも平気。とは言っても、実は中国の白酒はアルコール度数だけ高いが、二日酔いは基本的にしない。

 ご馳走様でした。

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