チェコ紀行(2)~ソウル道草その二、大韓航空と仁川空港

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 10月4日(火)、連日仕事の追い込みで溜まった疲れが一気に出た。たっぷり8時間の睡眠で、遅めのソウルの朝を迎える。朝食は、ルームサービスで韓式ブレックファースト。

65748_2ルームサービスの韓式朝食、朝から焼き肉

 10時頃、ホテルをチェックアウトして、リムジンバスで再び仁川空港へ向かう。荷物のスルーチェックインと一緒に、搭乗券も最終目的地のプラハまで上海浦東で発行されているので、ゆとりあるトランジットが出来た。

 大韓航空を使ったのが十数年ぶりだ。しょせん三流航空会社と思いこんでいたところ、今回はすっかり印象が変わった。機材やサービスの良さ、総合的に日本の航空会社には勝るとも劣らない。2011年度エアライン・ランキング(「地球の歩き方」発表)では、大韓航空が総合7位に入賞している(全日空6位、日本航空10位)。ちなみに、同じ韓国系のアシアナ航空はなんとキャセイ航空を抜いて、総合3位を達成している(シンガポール航空1位、エミレーツ航空2位)。

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65748b_3仁川空港発プラハ行き、大韓航空935便に乗り込む

 この数年、韓国勢の躍進は目を見張るものであった。自動車や電機メーカーなど、日本の中核産業と競争する分野でのキャッチアップだけでなく、サービス分野でもこのような大躍進を果たしているのである。

 大韓航空の客室乗務員を見ると、英語力が平均的に日系エアラインより高い。それだけではない。ヨーロッパ便なのに、日本語を流ちょうにしゃべる乗務員も複数乗務している。それが仁川空港乗り継ぎの日本人客を意識して配置しているのかもしれないが、気がつけば、仁川空港発のプラハ便は三分の一以上も日本人客が乗っているのだ。

 仁川空港自身も使いやすくて良いエアポートだ。仁川を成田、金浦を羽田に例えて比較すると、根本的に違うところが首都圏両空港間接続の利便性である。成田が千葉方面、羽田が横浜方面と反対方向に位置しているのに対してソウルの場合、仁川~金浦~ソウル都心部と一直線になっていて、空港間の乗り継ぎの利便性・経済性の差が一目瞭然だ。伊丹と関空にも同じ問題がある――。大阪の市街地をはさんで両端にあるので、乗継ぎが極めて不便だ。さらに関空の至近距離内に同じ海上空港で神戸空港を作ってしまうほど、それだけ戦略音痴が日本に実在しているのだ。いや、そもそも、日本には戦略などがあったのか。

 ちょうど2年前のブログ、「2009年10月20日 羽田は国際空港、成田は千葉空港になる日」で書いたとおり、羽田を全面国際化し、むしろ「東京国際空港」でなく、「ニッポン国際空港」にすべきだ。成田は、「千葉空港+格安航空会社国際線」で十分だ。さらに、新幹線を羽田に引っ張り込んで、品川と新横浜の間に「羽田空港駅」を設ける。国際線で羽田到着後、2時間強で名古屋に、3時間強で大阪に到着できる。中部も関空もいらないくらいだ。

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65748b_4仁川空港出発ロビー、ミニ・コンサートや伝統楽器・伽耶琴の生演奏

 仁川空港の出発ロビーをぶらぶらしていると、ミニ・コンサートが開かれたり、伝統楽器・伽耶琴(カヤグム)の生演奏があったり、エアポートという「天然メディア」を生かし、世界に向けて「Korea」ブランドのソフトパワーをアピールする、韓国の野心と気迫が垣間見られる

 これ以上もたもたしていると、日本は韓国に追い抜かれてもおかしくない。経済規模では中国に抜かれ、戦略や行動力、そしてソフトパワーの面では韓国に抜かれると、日本が第二の敗戦を迎えることは確実だろう。

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