<雑論>反中産業 / 中国の民意と日本人の運命 / 米の対中追加関税 / 日本の食料危機 / シンガポールの新首相 / 北方四島の開発権

● 反中産業

 約2か月前に私が言っていたことが本当になった。中国は、反中とされる5人の台湾人論客・キャスター(司会者)をブラックリストに載せ、制裁対象とした。その5人中の4人は、私もよく視聴している論客だが、正直にいって多少の個人差はあるものの、全体的にそんなに反中とは思えない。この5人がミニマムラインでそれを超えた者はブラックリストだという中国の警告だったのかもしれない。

 台湾統一後の物理的清算を考えると、ブラックリストに載せられた人たちは、いずれ海外移住を余儀なくされるだろう。あるいは立場を一転して新たな論調を打ち出すのも一択だが、人格的に見下されるのは避けられないだろう。有名人だけでなく、一般人でもSNSでフィルタリングすれば簡単に反中言論者の特定ができるだろう。制裁があるとは思えないが、社会的不利益に遭遇するかどうかは将来になってみないとわからない。たとえば、戦後になっても戦争を讃える者はどうなるのか、考えてみればわかる。

 日本人も気をつけたほうがいいと私が推奨しているが、言論の自由を妨害するつもりは全くない。死も恐れない本物のイデオロギー的・原理主義的な反中派ならその調子に徹するのはむしろ当然だが、問題はそうでない人たちだ。反中派は2つのグループに分かれる。

 グループ1は、反中は仕事、反中ビジネスに従事する人たちだ。たとえば、反中(親米)メディアの幹部や従業員、反中団体・組織から資金の提供を受けている論客や学者、社会活動家たちがそれに該当する。彼たちのなかにもしかすると、原理主義者がいるかもしれないが、大方は生計のため、ビジネス感覚で反中しているように思える。

 グループ2は、上記反中ビジネス・反中産業の顧客だ。日米西側のプロパガンダ・洗脳を受けた素人の人々は、刷り込まれたものを無思考的にコピペして騒ぐ似非反中派である。なぜ反中かという議論にすら堪えられない。「中国が独裁だから」「人権侵害だから」と理由を挙げても、アメリカは独裁し人権侵害した事実をぶつけると、黙り込む人たちだ。

 反中ビジネスの顧客は、概ね思考力をもたない大衆で、反中原理主義者に程遠い。そういう人たちは、頭が弱く、悪い。顧客ならまだしも、詐欺の被害者になったりもする。たとえば、米国在住の反中実業家・郭文貴の巨額詐欺事件はその好例。

 郭は、中国政府に立ち向かう「自由の闘士」というイメージを広げて、世界中の注目を集め、新メディアを立ち上げる名目で、5000人以上から10億ドル(約1300億円)を騙し取ったとされ、2023年3月米司法当局に詐欺罪など12の罪状で訴追された。約5万平方フィート(約4600平方メートル)の邸宅に、3700万ドル(約48億1000万円)のクルーザー…。司法当局が発表した郭から押収した資産のほんの一部だ。

 反中産業、いわゆる「正義ビジネス」ともいえる子供騙しだが、規模が巨大だ。

制裁対象となった5人の台湾人論客・キャスター(司会者)

● 中国の民意と日本人の運命

 呉江浩・駐日中国大使は5月20日、日本の国会議員約30人が頼清徳・台湾新総統の就任式に出席したことについて、「公然と台湾独立勢力に加担するもの」と非難し、日本の政治家や学者との座談会で、「日本という国が中国分裂を企てる戦車に縛られてしまえば、日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と述べた。

 中国による台湾統一にあたって、在日の米軍基地が使われれば、中国は対日攻撃も辞さないという警告として受け止めたい。それでも「台湾有事は日本有事」か?日本人は本当にそこまでの覚悟ができているのか?

 1. 中国が台湾を武力統一すること。
 2. 日本が妨害した場合対日開戦すること。

 この2点、中国の民意が問われたら、おそらく、1問目は7割賛成、2問目は9割賛成ではないかと。もし民主主義の多数決原則なら、この2問はいずれも正当化される。幸い中国は西側流の民主主義をやっていないから、幸い習近平がハト派だから、辛うじて平和が保たれているのだ。

 民主主義から戦争が生まれることを知っておきたい。中国が民主化になったら、2つのシナリオがある。シナリオ1、米国が擁立した親米政権が樹立した場合、日本は用なしで米国に切り捨てられるか、降格して中国の子分、米国の孫分になる。シナリオ2、ナショナリズム、ポピュリズム派が政権を取り、民意に便乗して即時台湾攻撃ないし日本攻撃を仕掛けてくる。核でも使われたらオチだ。だから、中国の民主化は、日本にとって百害あって一利なし。

 近日の出来事だが、中国はネットで政府メディア以外の「頼清徳」の検索を遮断した。多くの国民は、中国当局の台湾に対する温和姿勢を批判し、一部「武力統一」の主張が強まっている。これを抑制するための言論統制と思われる。繰り返してきたように、習近平はハト派。中国は民主化して、ポピュリズムに任せたら非常に危ない。権威主義下の言論統制がかろうじて平和を保っている。こんなことを西側や日本のメディアは絶対に報じない。

 あと、中国経済がダメになるという希望的観測もやめたほうがいい。経済がダメになったら戦争に踏み切るという法則を忘れるな!

 ユダヤ人は優秀な民族。だが、計算下手な時もある。ガザ戦争、得るものと失うものを天秤にかけてみたらいい。どんな優秀な民族でも、ポピュリズムには勝てない。

 中国の場合も同じ。ポピュリズムに任せれば、即台湾攻撃になってもおかしくない。習近平はかなりのハト派で頭の良い政治家であり、台湾問題では不戦勝の条件と時期をじっくり見極めている。いわゆる民主主義の西側は、台湾問題における中国の民意を見落としているか、それとも意図的に避けているか。

 西側の習近平批判もまた、西側のポピュリズムがあってのものだ。民主主義は、ポピュリズムを利用する劇場型政治だと、ギリシャの哲人たちが教えてくれた。2000年以上経っても、ポピュリズムは変わらない。いや、ネットの発達によってむしろ悪化している。そういう意味で、情報統制は必要だ。もはや、洋の東西を問わず、民主主義国家もやっている。

● 米の対中追加関税

 バイデン大統領は5月14日、対中追加関税(301条関税)の関税率を引き上げるよう米国通商代表部(USTR)に対して指示したと。中国製のEV車に100%、太陽電池と半導体に50%、鉄鋼・アルミニウム、バッテリー、重要鉱物、STSクレーン、医療製品に25%の追加関税。選挙目当て。トランプがやりそうなことを一足先にやっても、全然アメリカのためにならない。

 EV車に100%、では中国資本の欧州製(ハンガリーなど)、あるいは今後メキシコ製はどうするのか?半導体やバッテリーに追加課税しても、米国製EV車の製造コストを引き上げ、EV車完成車輸入の追加課税効果を打ち消すだけではないか。繰り返しているが、他人に対する「弱化」は、自分の「強化」にならない。そして民主主義は劇場型政治で、いつまでも芝居を演じているだけ。

● 日本の食料危機

 「食料供給困難事態対策法案」の審議が日本の国会で始まった。有事、食料危機に備えるとはいうが、実質的に中期スパンでの「戦時食糧法」ではないかと。私が繰り返してきた、「戦死前の餓死」問題。供給熱量が1人1日1900kcalという設定では甘いように思える。最悪1000~1500kcalを想定すべきではないかと。基本的に配給制だ。

 農水省によると、日本のカロリーベースの食料自給率は38%だという(2022年度時点)。ただ、この数字はおかしい。農学博士の高橋五郎氏によると、日本の食料自給率は実際には18%しかなく、かなり危機的状況だという。農水省のカロリーベース食料自給率は、たとえば1カロリーの牛肉を食べるのに牛の飼料にどのくらいのカロリーが必要かなどといった中間部分が抜け落ちている。畜産物に限らず、食用油・みそなどすべてのニ次的生産食料にも当てはまる問題である。

 日本は中露と喧嘩さえしなければ、有事にはならない。食料危機とともに、闇市ができる。お金を積めば、ある程度の食料は手に入るだろう。だから、不謹慎な話だが、日本人には、お腹を空かせ、財布を膨らませる練習・実践が必要だ。

 食料問題を含めて日本の問題は深刻だ。2024年1~3月期の国内総生産(GD{)速報値は、年率換算では2%減。あれだけ円安だったのに、輸出が伸びないのは、原材料輸入の値上がり、国内にサプライチェーンがないことに起因する。日本はもう終わっている。が、終わらないのが問題。日本は、もう先進国ではない。リセットが必要。一度滅びる必要がある。アジアではこう言われている――。日本が世界やアジアをリードしているのは、漫画とAVだけだ。 

● シンガポールの新首相

 シンガポールの新首相、ローレンス・ウォン氏。就任してから数日、彼の動きを見ていると、肯定とする先日の投稿を修正する必要があると感じた。まず、リー家親子に比べると、帝王学に疎い様子が明らかだ。「庶民に寄り添う」姿勢にこだわりすぎる。支配者のオーラが感じられない。さらに、彼は、リー家のイメージ(色)を払拭しようとしているように見える。それはまずい。シンガポールはやはりリー家の国だ。リー・シェンロン氏が後見人として閣内にとどまる間はまだいいが、亡き後のシンガポールは心配だ。

 シンガポール国内では従来のエリート政治に不満の声が上がっていることは事実だ。それに応えるようにウォン氏の「寄り添う」姿勢があったのかもしれないが、それでポピュリズムに傾くことにならないかと心配だ。庶民の声に耳を傾けるとは、結果が分かっている。

 今の西側流民主主義下の大衆が求めているのは、「幸福を追求する機会」ではなく、「幸福を享受する権利」つまり保障や分配、より多くの権利。大衆は、自由を主張するが、自由や権利に伴う責任、義務、リスクを引き受けようとしない。それがポピュリズムの原点だ。特に日本人は、「自己責任」を嫌って、これほど無責任、しかも自分に無責任な大衆はほかに見ない。シンガポールはそうなってほしくない。

● 北方四島の開発権

 北方四島の開発権を、ロシアが中国に引き渡した場合、日本政府はどうするのか?プーチンの訪中で、習近平とすでに密約を交わしたのかもしれない。日本は米国追随でロシアを敵に回した。

 ウクライナ開戦当時、私がロシア支持を言うと、いわゆる保守がすぐ反論してきた。シベリア抑留でソ連が日本人に酷いことをしたと。確かに酷い。シベリア抑留で5万人以上の日本人が死んだ。それが酷いというのなら、広島と長崎でアメリカに殺された30万人の日本人は何なのか?日本人はどうして親米嫌露になっているのか?説明がつかない。だから、言っている。日本人のいわゆる保守層のほとんどが、頭の悪い頓馬だ。

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